氷に穴をあけて楽しむ「氷上ワカサギ釣り」の季節が到来しました。冬ならではの風物詩として知られ、釣り初心者の方にも人気のアクティビティです。全国各地で体験イベントが開催されていますが、気象条件によっては氷の厚さが足りず、中止となるケースもあるようです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
ワカサギは移入された食用魚
冬が旬であるワカサギは、キュウリウオ目キュウリウオ科に属する魚です。
体長は15センチほどと小型で、食用魚として親しまれています。身体は細長く、小さいひれが特徴です。背びれの後ろにはあぶらびれがあります。

冷水性の魚で、天然分布域は太平洋側では茨城県以北、日本海側では島根県以北の北日本。ロシアにも分布しています。
内湾や汽水域、河川、湖と多様な場所に生息しているのが特徴。水質が悪い環境や低水温、塩分に対しても広く適応することから、日本各地の湖やダムなどさまざまな場所へ移植されました。
日本の食卓になじむワカサギ
ワカサギは長く食用魚として日本の食卓で親しまれてきました。
ワカサギは漢字で書くと「公魚」。これは江戸時代に、麻生藩(現在の茨城県行方史市麻生)の藩主が徳川家に焼きワカサギを献上していたことから、「御公儀の魚(将軍家御用達の魚)」とされたことに由来しています。

ワカサギと聞いて思い浮かぶのは、氷に穴をあけ、そこから釣り糸を垂らして行う穴釣りの光景ではないでしょうか。
これが始まったのは1909年、茨城県のワカサギを福島県松川浦に放流したのを契機として、内陸を含む100以上の湖沼に移入したことがきっかけだといわれています。
移入した湖沼のうち、冬の間に水面が凍る地域では、氷に穴をあけて仕掛けを垂らしてワカサギを釣る穴釣りが楽しまれるようになったようです。
氷上ワカサギ釣りに危機が?
そんな氷上ワカサギ釣りの歴史にも変化が見られます。
岩手県二戸郡一戸町にある菜魚湖(ななこ)では、毎年1月下旬から2月下旬まで氷上ワカサギ釣りが開催されています。
釣り場でテントや釣り具のレンタル、エサや仕掛けの購入もできレジャーとして人気なスポットです。

しかし、今年は氷の厚さが基準値を満たさず、氷上ワカサギ釣りは中止となったそう。中止は2年連続となりました。
57地点のうち39地点でワカサギ釣りの運営が可能な氷の厚さ15センチを上回りましたが、安全確保のためには9割の地点が15cmを上回る必要があり、運営が不可能に。
加えて、氷に30cmから1メートルの穴があいているなど、氷がやわらかいことも中止の要因となりました。
榛名湖で7季連続の釣り中止
また、群馬県高崎市にある榛名湖(はるなこ)では、全面結氷しないことから氷上ワカサギ釣りが中止に。榛名湖では7季連続で中止が発表されています。
今後、冬の風物詩であった氷上ワカサギ釣りの光景は、徐々に少なくなっていくのかもしれません。
氷上ワカサギ釣りはやったことがないけど、なんとなく知っているという人が大半だと思います。
次世代へ魚の風物詩を繋げていくためにも、まずは暖冬や地球温暖化といった現象、またそれらによって影響を受けた物事に関心を持つことが重要だと考えます。
<サカナト編集部>
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