尾長グレについて
「尾長グレ(オナガグレ)」は、スズキ目メジナ科の魚です。正式な名称は「クロメジナ」と言い、姿の似ている近縁種に「口太グレ(メジナ)」がいますが、本種は口太グレよりも外洋を好む傾向があり、体は口太グレよりも大きくなります。食味は良く、刺身や焼き物、フライなど様々な調理方法で美味しく食べられる魚ですが、釣りにおいては、食味というよりはゲームフィッシング的な面で人気があり、多くの釣りファンがいます。
尾長グレの分布・生息域
尾長グレは南日本の太平洋側や、台湾、香港などの地域に生息しており、温暖な海域の岩礁帯を好みます。そのため、東北や瀬戸内海の比較的水温の低い場所ではあまり見かけることがありません。口太グレよりも外洋性が高いという特徴があり、沿岸部から水深70メートル程度の場所などでも見かけることができます。尾長グレの生態や食性
尾長グレは、甲殻類や海藻などを食べる雑食性を持った魚です。地域によって差がありますが、多くの個体は11月から12月にかけて産卵期を迎え、卵から孵化してしばらくは沿岸部の浅いエリアに生息しています。成長していくに従い沖磯など黒潮など温暖な流れに近い外洋に出ていきます。尾長グレの形態
尾長グレは、鯛などに似た体高のある卵型の体系をし、側扁しています。体色は地域や個体によってバラつきがあるものの黒やこげ茶色をしています。頭部は丸みが強く、口はあまり突出していません。口先には細かい歯が一列に並んおり、その一本一本は先が2~3つに分かれ、目の細かいヤスリのように先がザラザラとしています。尾長グレは磯釣りのスーパースター
口太グレ・尾長グレは、磯釣りにおける人気ターゲットの代表とも言える魚。グレ釣りトーナメントなどの全国大会が、釣り具メーカーをはじめとした様々な団体主催で開催されるほどです。中でも尾長グレは、大きいものでは60センチを超えることもあるため、多くの磯釣りファンにとっての憧れの的となっています。尾長グレと口太グレの違い
尾長グレと口太グレは見た目が似ているため、釣りをしない人では見分けるのが難しく、特に幼魚では区別をするのが非常に困難です。成魚は、エラ蓋のフチと尾鰭の形状、鱗の形で区別することができます。尾長グレはエラ蓋のフチが黒くなっており、一番区別をつけやすいポイントになります。また、口太グレと比べて見ると顕著にわかるポイントは、尾鰭の長さと鱗の形状です。外洋に適した泳力を持つ尾長グレは、口太グレに比べて尾鰭は長く、付け根はスマート。全体的にウロコが細かいことが外見的な差として見受けられます。
尾長グレの日本記録は?
ゲームフィッシングのターゲットとしても親しまれている尾長グレは、より大きな魚を釣り上げることが1つの誉れとされています。尾長グレは口太グレに比べ大きくなり、また成長するに従い外洋に出ていくため、堤防や地磯などではレコードサイズの大物は滅多に釣れることはありません。そのため、大物の尾長グレは狙う釣り人は、沖磯などのハイレベルなフィールドに行くことも多く、最近では船からフカセ釣りを行う「船フカセ」も人気のスタイルとなっています。
尾長グレの日本記録
尾長グレ大きさ(長さ)の日本記録は「83.3センチ」とされています。長崎県のアジ曽根で釣られたもののようで、拓寸(魚拓の大きさ)による記録です。沖磯などのフィールドでのアベレージサイズが40~50センチであることを考えると、驚異的な大きさです。ちなみに、口太グレの日本記録は「67.5センチ」とされています。磯釣りでの記録は?
尾長グレの磯釣りでの日本記録は鹿児島県佐多岬田尻で釣りあげられた「74.8センチ」と言われています。口太グレの日本記録よりも大きく、これもまた驚異的な大きさです。尾長グレが10年でおおよそ40センチ前後の大きさになる魚であることを考えると、レコードサイズを釣り上げることの難しさがよくわかります。長グレを釣るための仕掛けと狙い方
尾長グレや口太グレは非常に警戒心の高い魚であり、普段は磯などの岩の裂け目などの近くにいることが多く、身の危険を感じると岩の裂け目に逃げる習性があります。その為、釣りにおいては、仕掛けを魚の近くに持っていくような方法では、根掛かりや、根ズレ(岩などに糸が擦れ切れてしまうこと)が多くなってしまいます。このような事態を防ぐためにも、尾長グレを始めとした磯釣りでは、コマセ餌で魚を上におびき寄せ、ウキ釣りで狙うこと(上物釣り)が基本になります。
ベストシーズンはいつ?
雑食性を持つ尾長グレですが、季節によって食性を変える傾向があります。口太グレは冬になると「寒グレ」と呼ばれ、磯臭さが抜け食味が上がる旬を迎えますが、外洋性の高い尾長グレは通年で磯臭さが少なく、初夏の「梅雨グレ」と呼ばれる時期になると、その身に脂が乗り食味が大きく上がります。また、釣りにおいても活動的になる梅雨の前後は非常にパワフルな引きを見せ、数釣りなどが楽しめる季節となります。
尾長グレ狙いならウキフカセ釣りが基本
コマセを使って魚を浮かせて釣る尾長グレ釣りでは、潮に乗って流れていくコマセと「食わせエサ」を同調させることが一番重要なポイントとなります。潮の流れに仕掛けを同調させつつタナを調整することができる浮フカセ仕掛けは、足場の悪い磯などで尾長グレを釣るのに最も適した仕掛けの一つとなります。基本のウキフカセ釣り仕掛け
尾長グレを狙った浮きフカセ釣りでは、1.5~2号5.3m前後の磯竿に2500番台のスピニングリール(出来ればレバーブレーキ付き)を用意します。リールには道糸ナイロン3号を巻き、各種浮フカセ用のウキB~3B、グレ針7号前後を使用します。その他ウキ止め、シモリ玉(小)、ガン玉(カミつぶしB~3B)、からまん棒を用意し仕掛けを組上げます。
水中ウキを使ったフカセ釣り仕掛け
海面上の風と潮の向きが大きく異なる場合や、上層と下層で潮の向きが異なる二枚潮の状況において、コマセと仕掛けを同調させやすくなるのが水中ウキです。円錐ウキの下に取り付け、円錐ウキが風や上層の潮に流されようとする際のアンカーの役割を果たします。円錐ウキと同じ番手のマイナス表記(-3Bなど)を用いるようにします。
全遊動ウキフカセ釣り仕掛け
ウキ止めを使わずにより幅広い棚を探れ、また、食わせエサを口にしたときの違和感を少なくすることができ、食いの渋い場合に効果を発揮します。アタリが出にくいというデメリットもありますが、全誘導専用のゼロ負荷(00号など)ウキを用いることで、ウキを境に保たれている道糸の角度の変化によってウキ沈むのでアタリ取ることができます。
大型狙いの離島ウキフカセ釣り仕掛け
大型の尾長グレが期待できるフィールドでは、道糸やハリスも強めの番手を用いることになります。また大型の期待できるフィールドでは波や風が強く、ウキが水面下に落ち視認性も悪くなりがちです。そのため、2B~4Bの浮力の高いものをウキを用いることで視認性を保つようにします。
尾長グレには”ねむり針
潮の流れに仕掛けを漂わす浮フカセ釣りでは、明確なアタリが出ないことも多く、経験者であっても針を飲まれてしまうことが少なくありません。飲まれた際でも、喉の奥から口元まで戻って来てから針掛かりをする「ねむり針」であれば、やりとりの際に尾長グレの鋭い歯でチモト近くの糸やハリスを傷つけられることが少なく、糸切れによるバラシを低減することができます。
▼グレ(メジナ)釣りについて詳しい記事はこちら
磯釣りの花形!尾長グレを狙ってみよう!
尾長グレをはじめとした磯釣りでは、「潮を釣れ!」とよく言われています。様々な要因で変化する潮の流れを読み、「経験」「知力」「体力」「時の運」を総動員しておこなう奥深さこそが磯釣りの人気の秘密。「釣れた!」ではなく「釣った!」という充足感味わえることは間違いありません。そんな磯釣りの花形「尾長グレ」に是非挑戦してみてはいかがでしょうか?
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