減らない密漁の検挙数 ウッカリ犯しがちの「レジャー密漁」とは?

イセエビやアワビ、ナマコといった漁業権が指定されている魚介類を違法に採取する「密漁」。最近では一般人が検挙される例も増えているといいます。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

減らない密漁の検挙数 ウッカリ犯しがちの「レジャー密漁」とは?

減らない「密漁」検挙数

水産物の中には、貝類やエビ、海藻など移動性の低い物を中心に「漁業権」が指定されているものがあります。そういったものはその地域の漁協組合員、ならびに採捕許可を受けている人だけが捕ることができ、それ以外の人たちが捕ると違法な「密漁」となってしまいます。

減らない密漁の検挙数 ウッカリ犯しがちの「レジャー密漁」とは?食用、販売目的で許可なく採捕すると犯罪になる(提供:PhotoAC)

ここ数年、そんな「密漁」の検挙数が下がらない状態が続いており、問題となっています。関西都市圏からほど近い和歌山県の海上保安部によると、密漁にあたる漁業法関係の摘発は令和2年が1件、翌3年には6件だったものが、今年は5月末の段階ですでにその倍近くの摘発件数となっているといいます。

海上保安庁などの発表では、密漁の全国の摘発件数はほぼ横ばい状態となっており、年間2000件台で推移しています。対策として密漁の罰則を強化するべく漁業法が改正され、最高で3年以下の懲役または3000万円以下の罰金が科されるという重い刑になっていますが、減少の様子はみえないといいます。

「レジャー密漁」が増加?

警察によると、最近はとくに漁業関係者以外の一般人が密漁で検挙される例が目立つといいます。コロナ禍でも密にならないとして海水浴や釣りなど海のレジャーに脚光があたる傾向が続いており、それが密漁を誘発していると考えられています。

減らない密漁の検挙数 ウッカリ犯しがちの「レジャー密漁」とは?1匹だけでもダメ(提供:PhotoAC)

地元ではなく遠方から訪れるレジャー客に向け、各地で「漁業権水産物を採取した場合は法律により罰せられます」とする啓発看板を岸壁などに設置しているのが見られますが、効果があるかどうかはわかっていません。

上記の和歌山では「レジャー感覚で採取しても『密漁』になります」といった文面で、漁業権魚種や密漁行為についての啓蒙を図っているといいます。

「つい」「うっかり」密漁に要注意

筆者もしばしばよく海のレジャーに行き、釣りや磯での採取を行っているのですが、しばしば気になっていることがあります。それは、レジャー客の中での「密漁となる魚介類」の知名度の低さについて。

例えば、春先に潮のよく引く海岸に行けば、岸壁にヒジキやテングサなどの美味しい海藻が当たり前に生えています。そしてそれを摘んでいる釣り人や親子連れなども当たり前に見かけますが、これらの海藻は多くの場所で漁業権が指定されており、仮にちぎれて打ち上げられたものを拾う場合でも密漁となってしまう可能性があります。

減らない密漁の検挙数 ウッカリ犯しがちの「レジャー密漁」とは?タコ釣りも密漁になることがある(提供:PhotoAC)

また意外と見過ごされている漁業権対象魚介類といえばタコ。マダコやイイダコといったターゲットは、魚と同様に釣りで漁獲でき、また貝類と違って盛んに移動をするので漁業権が指定されていないように考えられがちですが、貝や海藻、イセエビなどと同じく指定されているところが多いです。

最近ではどこの堤防でもタコ釣りの人を見かけるようになっていますが、密漁となる場所が多いはずなので要注意でしょう。ちなみに上記のような密漁防止の看板にも、タコとは書かれていないことが多いようですが、記載がなくても犯罪になってしまうので気をつけたいところです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

The post 減らない密漁の検挙数 ウッカリ犯しがちの「レジャー密漁」とは? first appeared on TSURINEWS.

from TSURINEWS https://ift.tt/Q4W8kiz
via IFTTT

コメント

PR