ルアー釣りで人気の対象魚ながら、特定外来生物として駆除も進められるブラックバス。そのひとつ「コクチバス」は実は食材としてもとても魅力的な存在です。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
櫛田川コクチバス生息環境マップ
三重県中部を貫流する一級河川・櫛田川。清流として知られ、アユが名産となっています。このたび、この櫛田川を管理する三重河川国道事務所が「櫛田川コクチバス生息環境マップ」を作製し、話題となっています。
このマップは、いま櫛田川で増加している外来種「コクチバス」を釣って食べて減らすこと、ならびにその啓蒙を行うことを狙ってつくられました。河口から中流域にある伊勢自動車道の橋までを4地域に分け、青色の濃淡で水深を示した川の航空写真の上に、コクチバスの生息場所を示しています。
マップはこれが完成版ではなく、今後の調査や寄せられた情報を基に更新していく予定といいます。同事務所ホームページからダウンロードでき、誰でも無料で活用できる形で公開されています。(『三重河川国道事務所 コクチバス食べて減らす 櫛田川生息マップ製作 三重』伊勢新聞 2021.5.13)
マップ作成の目的
コクチバスはいわゆる「ブラックバス」の一種で、スモールマウスバスとも呼ばれています。北米原産で湖沼や河川の中下流域に生息する魚です。アユなど魚類やエビ類、ヤゴなどを食べる動物食性で、在来種に与える被害が大きいとされることから、特定外来生物に指定されています。
コクチバスは櫛田川では平成27年度に生息が確認され、令和2年度には大幅に増加したことがわかっています。特産のアユを始め、貴重な在来生物を食害し、経済的な被害も小さくないと言われています。
三重河川国道事務所は、住民や行政、学識者でつくる櫛田川自然再生推進会議を平成27年度に設立。その2年後からコクチバスの生息拡大防止のための活動を実施しており、今回のマップはその一環として作られたものです。
コクチバスは美味しい
同じく「ブラックバス」の一種で、全国の池沼に生息するオオクチバスと比べ、冷水域に適応しているコクチバス。そのために水温の低い河川の中上流域にも生息することができます。
そのような場所は水質が良いため、そこで漁獲されたコクチバスは川魚特有の臭みが少なく、食用に向きます。
そもそも食用魚として移入されたコクチバスは、身質の良い白身で食味が良い魚。寄生虫がいるので生食は困難ですが、ふわふわした上質な食感でフライ、塩焼き、煮付けなどあらゆる料理で楽しめます。
川魚が苦手だという人でも美味しく食べられる魚だと思うので、もし手に入る機会があればぜひ怖がらずに食べてみることをオススメします。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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