近年研究が進んでいる各地の深海で、ユニークな特徴を持つ新たな深海魚が次々と発見されています。近年発見された新種の深海魚をいくつか紹介しましょう。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
新種の巨大深海魚「ヨコヅナイワシ」
海洋研究開発機構は1月25日、静岡県沖の駿河湾で、「セキトリイワシ科」の新種の深海魚を発見したと発表しました。「ヨコヅナイワシ」と名付けられたその魚は、体長140cm余り、体重はなんと25kgにも及び、セキトリイワシ科の最大魚ではないかと考えられています。
このヨコヅナイワシが最初に採取されたのは2018年のこと。駿河湾の水深約2,000m以深の場所から上がってきたばかりのものは、明るい青色のうろこを持ち、深海魚として有名な「シーラカンス」を思わせる外見だったといいます。その後の調査により、新種であることが判明しました。
セキトリイワシ科のいくつかの種に共通する特徴ですが、このヨコヅナイワシも魚食性で高い遊泳能力を持っています。この水深の生態系の頂点に君臨する「トップ・プレデター」ということで、「番付最上位」の横綱という言葉が和名に用いられました。(『140cm新種の巨大深海魚発見 静岡沖、「ヨコヅナイワシ」』共同通信 2021.1.25)
2020年に日本で発見された深海魚
周囲を海に囲まれた日本。その領海には水深200mを超える深海もたくさんあり、駿河湾を筆頭に各地で調査・研究が進められています。そしてその結果、新種の発見が相次ぎ、たびたびニュースとなっています。
2020年にも、いくつかのユニークな魚が発見されました。特にユニークなものが以下の2種です。
オトヒメコンニャクウオ
福島の水族館「アクアマリンふくしま」が、知床の海で行った調査で発見したおが「オトヒメコンニャクウオ」。近縁種とぱっと見は似ていますが、すぐに違うとわかるのは「体長の半分ほどにも及ぶ長い胸鰭」があるからです。
餌の匂いがすると大きな胸びれをひらひらさせながら、まるで海中を舞っているような行動をとることから、この和名がつけられたそうです。(『「深海を舞う新種の魚「オトヒメコンニャクウオ」公表のお知らせ』アクアマリンふくしま 2020.2.23)
モユククサウオ
「モユククサウオ」も、アクアマリンふくしまによって知床で発見された新種。「モユク」はアイヌ語で「タヌキ」の意味があります。
クサウオの仲間は、比較的浅い場所から深海まで沢山の種類が確認されているのですが、このモユククサウオはクサウオ科の大きな特徴である「吸盤」が退化し、痕跡しかないという特徴を持ちます。
そのため彼らは岩にくっつかずに遊泳しながら生活していると考えられており、その様子を夜行性であるタヌキに擬え 「モユククサウオ」と命名したのだそうです。(『北海道知床でまた新種の深海魚を発見!貴重な標本を館内で展示 深海をさまよう魚?! 「モユククサウオ」公表のお知らせ』PRTIMES 2020.7.27)
海外で「最黒」な深海魚が発見
深海魚の調査と研究は、海外の各地でも盛んに行われています。そのひとつ、メキシコ湾とカリフォルニア州モントレー湾で採集された深海魚の中に、特殊な深海魚が確認されました。
その深海魚は「ユメアンコウ属」というグループに含まれる数種で、漆黒の体色が特徴。光の反射率はなんと0.044%しかなく、人の目には全くの真っ黒にしか見えません。
彼らの棲息する深海は、太陽光が殆ど届かないために真っ暗となっています。彼らの体色は、そのような場所で敵から身を守ったり、餌を捕食するのに役立つと考えられています。(『光を99%吸収 最も黒い深海魚が発見される』ニューズウィーク 2020.7.20)
「人類に残された最大のフロンティア」とも言われる深海。今後も研究が進むにつれて、このようなユニークな深海魚は数多く見つかっていくでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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