初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説

厳しい残暑もようやく落ち着き、季節は秋本番!秋と言えば船からのティップランエギング(以下ティップラン)で狙うアオリイカシーズンの到来だ。秋の小型の数釣りに始まり、11月には1kgを超える良型も狙える大人気の釣り。今回は10月4日に、三重県・南伊勢町宿浦の釣船屋たにぐちへ釣行した際の様子と併せて、ティップランの基本と釣果を上げるポイントを解説していく。

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(アイキャッチ画像提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説

ティップランとは

ティップランとは船をドテラ流しで流しながらアオリイカを狙う釣り方で、ショアからエギを遠投して狙う一般的なエギング(キャスティング)とはタックルも使用するエギも大きく異なる。同じエギングであっても、アプローチの方法が全く異なるため、「別の釣り」として考えた方が良いだろう。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説ティップランの特徴(作図:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

ティップランでは、船をドテラで流してアオリイカを狙う。釣り人は風上側の片舷で釣りをすることになり、船が流れているので常に船の下(アングラーの足元)が新しいポイントとなる。よってキャスティングとは異なりエギを遠投することはなく、足元を中心に狙うことになる。

ティップランの基本的な釣り方

ティップランの釣り方は、(1)エギを足元に投入。(2)着底したら5~10回ほど誘い(ワンピッチ)を入れる。(3)エギをステイ(船が流れているのでエギは水平移動する)。ステイの時間は通常10~30秒前後が基本。ここまでが1セットとなる。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説ティップランでゲット(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

状況次第ではあるが、風が弱く船があまり流れない場合は、再び底を取って一連の釣り方を2~3セット繰り返す。風が強い場合は船が速く流れてラインの角度がついてしまう(水平に近くなる)ため、1セット後アタリがなかったらエギを回収して入れ直す。

アタリは(3)の水平移動中に出ることがほとんど(まれに着底同時ヒットの場合もある)なので、ティップ(穂先)に違和感があれば即アワせる。その日の状況に応じて誘いの回数、ステイの秒数、何セット誘うかを調整していく。

ティップランのタックル

ロッドはティップが軟らかく、繊細なアタリをしっかりと捉えることができるもので、しっかりとエギをアクションさせる強めのバットを備えた専用ロッドを使用する。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説ティップランのタックル(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

リールはスピニング2500~3000番。ラインはPEラインが必須で、号数は0.4~0.6号を使用する。太いラインは潮の影響を受けやすく、エギの着底が分かりづらいため、0.6号以下にした方が良い。

風が強い場合は船がかなり速く流れ、状況によってはラインを100m前後出しての釣りとなることもある。トラブルによる高切れなどでラインが足りなくなり、釣りができない状態になってしまうことを避けるため、200m以上巻いておいた方が安心だ。

準備を済ませて出船

風がある方が船が流れてティップランには良いものの、釣行日当日は大雨と強風に加えてウネリもある予報となっており、グッドコンディションとは言いがたい予報。湾内のポイントが中心となることを予想しながらの出船となった。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説曇天の釣行(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

当日の私のタックルは、ロッドはがまかつEGTR‐X610MLにリールはダイワセルテート2500Hをセット。ラインはよつあみアップグレードペンタグラム0.5号、リーダーは1.75号を使用した。

ティップランでは専用のエギを使う。キャスティングで使用するノーマルタイプのエギと異なる点はヘッドヘビーで素早く沈み、誘いからのステイで水平姿勢を演出するよう設計されている。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説釣船屋たにぐちから出船(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

当日は、今秋アクアウェーブから発売されたアオリクスTRを使用。サイズはシーズン初期ということもあり、2.5号と3号の各色をメインで準備した。

まずは湾内のポイントから

最初は湾内の水深10m付近のポイントからスタート。風裏となる湾内のポイントなので風がほとんどない。船が流れないため軽く前方にエギをキャストして狙う。

船が流れない場合はラインに角度がつかずに、船の真下を狙うことになる。ティップランではステイ時にラインが水面から45度ぐらいの角度があった方がアタリが取りやすい。船が流れない場合は、軽くキャストして角度をつけるように狙った方が良い。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説コウイカも出る(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

逆に船が速く流れすぎてラインが寝すぎる場合や着底が分かりにくい場合は、ウェイトの重いエギに変更するか、シンカーを追加してライン角度を調整する。

曇天のなか第1投。まずはアオリクスTR2.5号20gアジゴールドで開始する。すると数投目に幸先よくティップを押さえ込む明確なアタリがあり、当日のファーストヒット。重量感のあるまずまずの引きだったが、ヒットしていたのはコウイカだった。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説アオリイカゲット(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

次の流しでミヨシの松尾さんに本命のアオリイカがヒット。アオリクスTR3号30gミスティックパープルにヒットしていた。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説きっちりキャッチ(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

濱口さんにも本命アオリイカがヒットし、船中の熱気が一気に上がる。しばらくして再び私にヒット。少し長めのステイでヒットしたのは2匹目のコウイカだった。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説コウイカ登場(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

沖のポイントではウェイト調整

思ったより風がないことから、ここで船は沖のポイントへ移動することとなった。沖のポイントは、五ケ所湾口の水深20~30mライン。ポイントに到着すると風もしっかりと吹いており、船がよく流れそうだ。

先ほどまで使用していた3号30gでは着底が分かりづらいため、エギを変更することにした。ティップランではライン角度に加えて、エギの着底を見極めることが重要となる。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説こちらもヒット(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

着底を逃さない

アオリイカはエギが沈んでいく際に反応を示していることが多く、着底後すぐに誘いを入れることで、ヒットに持ち込める確率がアップする。またアオリイカのポイントは底に起伏のあるポイントも多く、着底を見逃して底を引きずってしまうと根掛かりが多発する。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説ヒット連発(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

15g追加でヒット

船が速く流れる場合、使用するエギを重くするかシンカーを追加して、着底を見極められるようにした方が良い。沖のポイント1流し目で、再び松尾さんにヒット。的確な状況判断で、アオリクスTR3号30gに15gのシンカーを追加してのヒットだった。

天野さんにもアオリイカがヒット。連続ヒットはないものの、1流しごとに反応がある。

終盤になると、先ほどまで比べてやや風が弱くなった。エギをアオリクスTRのウィステリアパープル3号30gに変更して狙ってみるが、やや底が取りづらいため7gのシンカーを追加した。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説シンカーを装着(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

終盤の連続ヒット

すると、すぐにティップを押さえ込むアタリ。アワセも決まり、久々にイカがヒットした。ヒットした後のやり取りで気をつけてほしいのは、エギのカンナにはカエシ(バーブ)がないため、ヒット後ラインを緩めてしまうと、せっかくヒットしたイカをバラしてしまう原因となるので、等速で巻き上げよう。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説終盤にヒット(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

久々のヒットに慎重になって巻き上げ、水面に姿を現したのは本命のアオリイカだった。そして終盤、阿部さんに3連続でアオリイカがヒットしたところで終了の時間となった。

当日はウネリが残り、アオリイカの反応も単発ではあったが、谷口船長のポイント選択がハマり、船中ではまずまずの釣果となった。

今後の展望&アオリクスTRについて

アオリイカはこれからがシーズン本番。シーズン初期の今は小型中心となるがアオリイカの成長速度は速く、シーズン中盤以降は1kgを超える良型も狙えるようになる。今シーズンも各地で好釣果が上がってきており、期待が持てそうだ。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説アカハタも登場(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

ティップランは難しいというイメージを持っている人もいるかもしれないが、タックルをしっかり準備して基本を押さえれば誰でも楽しめる釣りだ。繊細なアタリを見極めて掛けアワせたときの快感は格別だ。まだやったことがない人はぜひチャレンジしてほしい。

今秋アクアウェーブから発売されたアオリクスTRは2.5号が20、30g、3号は30、40g、3.5号は30、40、50gをラインナップ。カラーも厳選された6色で、どんな状況にも対応してくれる。また一部を除きシンカー(他社)も装着可能で、状況に応じたウェイト調整も行いやすい。

初心者も楽しめるティップラン入門! 三重エリアの実釣で基本とコツを解説アオリクスTRとシンカー(提供:刊つりニュース中部版 桑原一幸)

初期は2.5号、3号の出番が多いが、これからアオリイカの成長に合わせて3号、3.5号が中心になる。

<週刊つりニュース中部版 桑原一幸/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2025年10月24日号に掲載された記事を再編集したものになります。


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