~今シーズンは期待大!!~イカ語が話せる…中村勇生テスターに聞いたシーズン初期/深場マルイカ釣りのキモ、アタリを出す・見る・掛ける…ための“コツ”とは?

~今シーズンは期待大!!~イカ語が話せる…中村勇生テスターに聞いたシーズン初期/深場マルイカ釣りのキモ、アタリを出す・見る・掛ける…ための“コツ”とは?

標準和名はケンサキイカ。

関東ではマルイカの通称で呼ばれ、そのゲーム性の高さから釣りのターゲットとしても非常に高い人気を誇っている。

関東における、現代のマルイカ釣りを牽引している1人といえるのが、我らががまかつ船フィールドテスターの中村勇生さん。

乗船すれば常にトップ釣果をたたき出し、巷では「イカ語が話せる…!」といわれているほどマルイカ釣りに精通する。

ゆえに「イカ生さん(いかおさん)」のニックネームで、釣り人はもちろん、各エリアのマルイカ船で舵を握る多くの船長からも一目を置かれている。

そんな中村テスターにマルイカ釣りのレクチャーを依頼。

今シーズンは序盤から好釣果を記録している剣崎沖で、マルイカ釣りのコツを根掘り葉掘りと聞き出していった。

シーズン初期の深場マルイカ釣りのキモはこの2点を意識しよう!

マルイカ釣りが劇的な変化を見せたのは、ここ数年でのこと。

オモリを底に着けた状態でタタキを中心とした誘いを入れ、その後サオ先に出るアタリを積極的に掛けていく『ゼロテン釣法』が主流となってからであろう。

記者である田中が初めて経験したマルイカ釣りは10年近く前。

釣り方もオモリ着底後、すぐに1mほど底を切り、宙層でのサワリを見ながら、上へ上へと探っていく…という釣り方。

仕掛けには常にテンションがかかったスタイルであり、現在主流のゼロテンの釣りとは、まったく異なるものであった。

そんなスタイルの変化に乗り遅れてしまい、いつしか足が遠のいていたマルイカであったが、誘って掛けるという攻撃的な『ゼロテン釣法』の面白さを知ったのが5年ほど前。

しかし、何度か通ったものの、なかなか上達できなかったこともあり、再び疎遠になっていた。

しかし、好調な今シーズン。

中村テスターから「今年は上達する絶好のチャンスですよ」と声をかけられており、このチャンスを逃がすと、また次は何時になるか分からなかったため同行を依頼。

2月中旬に神奈川県の剣崎・松輪江奈港の一義丸さんにお邪魔してきた。

当日の海象は、北寄りの風が10m以上吹き続け、波の高さも2m以上との予報。

出船前から不安しかない私に、中村テスターは開口一番「よりによって、こんな悪条件の日になっちゃいましたね。でも悪条件だからこそ、マルイカ釣りの基本を叩き込むには最適ですし、今日の状況下で覚えたことは、凪の海なら簡単にできるはずです」と超前向きなコメント。

準備の整った午前7時にモヤイが解かれ、河岸払いとなった。

大荒れの海の中、船は大きな上下動とローリングを繰り返しながら進み、約30分で剣崎沖に到着。

舵を握る立川船長は、ソナーと魚探を見ながらマルイカの反応を探していく。

「反応がやや小さいですが、ここから始めてみましょう。水深は85mです」とアナウンスが流され、中村テスターはさっそくオモリを投入。

私が少し遅れて投入すると、さっそく中村テスターから注意が入る。

「マルイカ釣りをはじめ、イカ釣りは船長からの合図と同時に素早く投入することは基本中の基本です。イカはいち早く落ちてきたスッテに反応しますから、ここで出遅れることは致命傷にもなります。特に、シーズン初期の深場を狙う時は、仕掛けが海底に届くのにも時間がかかりますから船長の合図と同時に仕掛けを投入する…。これはしっかりと意識してください」

その言葉通り、中村テスターは着底直後にサオ先にアタリが出ていたが、乗り遅れた私はマルイカのサワリなし。

「船長のアナウンスと同時の素早い投入」の重要さを体感したひとコマであった。

船下からマルイカの反応が消えると、船長はすぐに移動を告げて、フレッシュな反応を再び探してくれる。

次の投入アナウンスでは、中村テスターと同じタイミングで仕掛けを投入。

着底直後に誘いを兼ねたタタキを入れてゼロテンションの状態を作り、サオ先に出るアタリに集中する。

しかし、ここで再び中村テスターからのアドバイスが飛んでくる。

「田中さんの誘いのタタキは、この水深にしては小さすぎます。タタキを入れる理由はスッテをしっかりと動かして、マルイカに触らせないように焦らすこと。この焦らしが次のステップのアタリにつながるので、水深が深ければ、タタキも大きく動かしてあげないとスッテは動きません。サオをただ小刻みに動かすのではなくて、海底付近のスッテをしっかりと動かすイメージで、メリハリをつけてタタキを入れてください。重ねて、深場ではアワセのストロークも大きくしないと乗り感もしっかりと出ませんから、その点にも注意するといいですよ」

そのアドバイスに注意して、大きなタタキの誘いの後にゼロテンで構えると、サオ先がわずかに動いた。

その動きに合わせて大きなストロークでアワセると、サオを通してズッシリと重みが右腕に伝わってきた。

巻き上げの途中、テンションが変わらないよう、一定のスピードでリーリング。

手巻きリールでは、かなり深めの水深85mとあって、両腕とも乳酸が溜まり始めて悲鳴を上げそうになったが、無事に良型のマルイカをキャッチすることができた。

中村テスターのアドバイス通り、

①船長のアナウンスと同時の素早い投入

②誘いのタタキも大きくメリハリをつける。そして、アワセのストロークも大きめに…

という2点は、シーズン初期の深場マルイカ釣りにおいては、しっかりと頭に入れておく必要がありそうだ。

釣行の写真

投入は遅れないことが基本中の基本!

釣行の写真

誘いのタタキは大きくメリハリをつけて

釣行の写真

アワセのストロークも大きく

今さら聞けないゼロテン釣法のイロハ

現代のマルイカ釣りにおける主流の釣り方として確立された「ゼロテン釣法」。

誰もが同じようにオモリを着底させてタタキを入れて誘い、サオ先を止めてアタリを見て、違和感があったらアワセを入れる…と、一連の流れを言葉で表現すればこのようになるが、では釣れる人と釣れない人の差はどこにあるのか?

中村テスターがどんなことに注意して釣りを組み立てているのかを今一度、ゼロテン釣法のイロハとして聞いてみた。

「先ほども言いましたが、まずは船長の合図に合わせて素早く投入し、投入に遅れないこと。それが一番重要です。仕掛けが全て海中に入ったら、サオ先を下に向けることで、ガイドへのミチイトの干渉を防ぎ、落下のスピードを速めてやります。そして、着底が近づいたら軽くリールのスプールに親指を添え、着底と同時にタタキを入れながら余分な糸フケを回収。波や船の動きを見て止める位置を計算してからキッチリとゼロテンションをキープします。落下直後からスッテが叩かれて抱きつけなかったマルイカの活性も上がっていますから、アタリが出る時は、サオ先を止めた直後に出ることが多いです」

中村テスターのスタイルは、まさに攻撃的。

マルイカに焦らしのスイッチを入れる組み立てをしているので、誰よりも早くアワセへと移行しているのも印象的であった。

「アタリを見逃さずに掛けていければ、必然的に数は伸びていきますし、しっかりと掛けることで、周りにいるイカもスレないので、再投入後も大きくアタリを出してくれる好循環にもつながるんです。また、アタリがなければ再びタタキを入れて誘うと思いますが、その時はリズムも変えながら2回タタキを入れてアタリを見ます。アタリが出なければ、すぐさま10m巻き上げて落とし直す“巻き落とし”を入れています。これは、スッテがマルイカに見切られている可能性があるので、いったん巻き上げてその視界からスッテを消す。そして、再び落とし直すことでその場をリフレッシュさせることが目的です。最初の流れでアタリが出なくても、巻き落とし後にすぐアタリが出ることはよくありますからね」

中村テスターの釣りを横で見ていて実感するのが、動きにまったく無駄がないこと。

1つ1つの所作はもちろん、ゼロテンをキープするためのミチイトの出し入れもタタキの誘いを入れながら頻繁に行っているので、リールのクラッチを切る音が頻繁に聞こえることもその特徴だ。

「いかに誘いとアタリを見る時間を作り出せるかが重要ですし、そのポジションをどう作り出していけるか。それこそがマルイカのゼロテン釣法のキモだと思っています」

エキスパートの言葉は、シンプルだからこそ本質をついていると実感した中村テスターとの会話であった。

釣行の写真

誘い直後のゼロテンションでアタリを見極める

釣行の写真

巻き落としの誘いも有効。スッテを見切られていると思ったら巻き落としがオススメ

ゼロテンポジションの重要性。アタリの見極めはサオ先を目線の先でキッチリと止められるかがキモ!

海悪の状況の中でも、ダブルを含めて次々と快調にマルイカを釣り上げていく中村テスター。

一方の私は、掛けられたり、掛けられなかったり。

掛けても途中でバラシてしまったり…と今いちリズムに乗り切れない。

そこで、アドバイスを再び中村テスターにもらうことに。

すると、釣り方の一連の流れを見て指摘してくれたのがゼロテンション時のサオ先の位置について。

「海悪の中でもミチイトのテンションは、しっかりとゼロテンの状態が取れていますが、時折、サオ先が下がりすぎていてテンションがすぐにかかりやすい位置になってしまっています。アタリが出た時にはサオ先が上にも下にも動く状態がベストですから、もう少し高く目線の先にサオ先がある位置で、ミチイトとサオ先の角度が90度前後をキープしながらゼロテンができるようになると見えるアタリがもっと増えてくるようになりますよ」

ただ、この日のように風が強く、船の動きも大きい中では、この目線の先でサオ先をキープしながらゼロテン状態を保つことはなかなか難しい。

「凪の日であれば、腕の動きやサオを持つ腕の肘をショックアブソーバーのように使えば、ミチイトとの角度を意識しながらゼロテンをキープしやすいのは理解できると思いますが、今日のような状況では、それでは追いつきません。多少難度は上がりますが、上半身と下半身の動き、時には膝も使って船の動きを吸収していくと、ゼロテン状態をキープしやすくなります。また、船ベリに体を預けて構えると、どうしても船の動きに同調しがちで、サオも動きやすくなってしまいます。船ベリから少し離れて重心を落として構えると、膝で船の動きを吸収しやすくなってくるんです」

高度なテクニックではあるが、これもアタリを見極めるゼロテン状態のスイートエリアを広げていくためには大切なポイント。

「また、海が悪い時には波の上下動も見ながら止めやすい位置を見極めることも重要です。船が持ち上がる前にサオを止めてしまうと待てる時間は短くなりますし、波の頂点で止めてもその後は糸フケがどんどん出るのでゼロテンのキープは難しくなります。波間のストロークが一番長いのは、船が下がりきる直前から持ち上げられる前まで。その前後はタタキを入れ続けて誘い、波間のストロークの長い時にしっかりと止める準備をしておくことも大切ですよ」

さっそく中村テスターからのアドバイスを頭の中で復唱しながら、波の動きを見ながら膝を使って船の動きを吸収。

ストロークの長い波間に目線の先でのゼロテンキープを持続させていると、今までよりも明らかにサオ先が安定した状態が続くようになり、アタリもはっきりと見えるようになってきた。

そのアタリに対して、アワセも大きなストロークでしっかりと決まり、思わず「マルイカ釣り楽しい~♪」と爆風の中、叫んでしまっていた。

釣行の写真

目線の高さでゼロテンションのサオ先をキープ。ミチイトとの角度も90度前後を意識する

釣行の写真

船の動きを身体全体で吸収してサオ先の角度をキープ

マルイカ釣りのアワセで重要なのはサオで掛けにいかないこと

中村テスターのアドバイスもあって、ポツリポツリと足元のバケツも良型のマルイカで賑やかになってきていたが、昼過ぎにアタリの出方が鈍くなる。

時折出る小さなアタリを必死にアワセてみるものの、なかなか掛けられないでいると再び中村テスターからチェックが入る。

「マルイカのサイズが少し小さくなったこともあって、序盤のようなはっきりとした乗り感が伝わらなくなってきましたね。その中、田中さんはサオでアタリを掛けにいく動きが強くなっています。それだとサオ先だけに負荷がかかって乗り感が分かりにくくなるだけでなく、場合によってはサオ先を折るリスクも増えてしまいます。深場は大きなストロークでアワセを入れると伝えましたが、ストロークの作り方が重要となるんです」

掛けられない焦りから、知らず知らずのうちにリスクの高いアワセになっていたことを指摘されて反省。

では、具体的にはどのように大きなストロークを作ってアワセを入れることが正解なのか?

「サオでイカの乗り感を感じるのは穂持ちから胴にかけての部分ですから、そこを生かすアワセが必要になってきます。イメージとしては、ゼロテン時のサオの角度を維持したまま、サオを持ち上げてミチイトを引っ張り上げる感じ。イカの乗りがあれば、その負荷がサオを通して腕に伝わってくるので、マルイカのサイズが小さくなったとしても乗り感はハッキリと分かります」

そのアドバイス通りにアワセのストロークを意識してミチイトを引っ張り上げるイメージを持つと、仕掛けだけの重さとイカが乗った時の違いが一目瞭然。

中村テスターからの的確なアドバイスのおかげで、サイズの小さなマルイカのキャッチ率も次第に上がっていった。

そして、まだまだ釣り続けたかったものの午後2時を迎えて沖上がりのアナウンス。

取材をしながらであったものの、中村テスターは海悪の条件をものともしない圧巻の50杯をキャッチ。

私も21杯のマルイカを手にし、大満足での帰港となった。

中村テスターに根掘り葉掘りとアドバイスをもらった今回のマルイカ釣行。

生憎の海悪の中ではあったが、この経験はきっと次の釣行にも生きてくるはず。

今シーズンは好調な出足を見せている関東近郊のマルイカ釣り。

あなたもこの楽しさを味わいに、フィールドに出掛けてみてはいかがですか?

釣行の写真

アワセの基本はサオで掛けに行かず、乗り感を感じるようミチイトを引っ張り上げるイメージ

釣行の写真

この状態でアワセが決まれば乗り感もばっちり

ハイレスポンスな『シーファング』フトコロの深い『デッキステージ』

今回の釣行で使用したロッドは、中村テスターは自身が監修したハイレスポンスモデルの『シーファング マルイカ』シリーズ。

私は、使いやすさを追求した『デッキステージ マルイカ』シリーズ。

中村テスターは誘った後もブレの少ないゼロテンモデル「151ZT」を終日使用し、渋くなった時間帯でもアタリを出して見事に本命をキャッチしていった。

私はスタート時にはグラスソリッドの穂先を採用したゼロテンメインで使用できる「155」でスタート。

海悪な状況下でも、しなやかなサオ先と穂持ちが生み出すフトコロの深さが、ゼロテンのキープに起因していることを実感できた。

途中からは、カーボントップの「160」へとチェンジ。

やや張りのある穂持ちが、直結だけでなく、直ブラ仕掛けでも乗り感のアップにも貢献してくれており、どちらも使い心地のよさが印象的であった。

釣行の写真

シーファングマルイカ

釣行の写真

デッキステージマルイカ

がまかつ デッキステージ マルイカ 155 1.55m

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