深海に生息する巨大ザメ「カグラザメ」。古い時代のサメの特徴を残すことから「生きた化石」とも呼ばれています。
(アイキャッチ画像提供:饗場空璃)
巨大な深海サメが水揚げ
台湾東部・台東県は沖合に深い海が広がり、サクラエビなどの深海生物漁業が行われています。そんな台東県にある新港漁港で7月中旬に、深海性の大型サメの一種「カグラザメ」が水揚げされ、国際的なニュースになっています。
水揚げされた個体は長さがほぼ4m、重さは570kgというおどろきのサイズ。深海魚漁が行われている地域では、狙いの魚介類と一緒に混獲されることがありますが数は少なく、地元漁師たちも「初めて見た」と驚いているといいます。
カグラザメとはどんなサメ?
カグラザメは、世界各地の水深200~2500メートルの深海に生息する深海性のサメの一種です。見た目はちょっと寸詰まりの顔をした普通のサメといった感じで、異形のものが多い深海サメの中ではキャラが薄そうに見えます。
しかし、例えば通常のサメには5対あるエラの穴がカグラザメには6対あるなど、いくつかの点で他のサメと絶対的に異なる特徴を持っています。これは原始的なサメの特徴でもあることから「生きた化石」とも呼ばれるサメです。
餌の種類は豊富であると見られ、捕獲された個体の胃袋からは様々な魚類、甲殻類、イカ・タコ類、貝類、海産哺乳類などが見つかっています。また彼らは魚では珍しく胎生で、子宮内で卵を孵化させ、一度に数十匹の幼魚を産みます。
サメの仲間はいずれもその生態に謎を多く残していますが、このカグラザメは深海性ということもあって捕獲例自体が少なく、詳しい生態はほとんどわかっていません。そのため、各国で調査研究が進められています。
食べられるの?
カグラザメは今回のようにまれに捕獲されており、生きた個体であれば水族館で生体展示されることもあります。ただ、魚体が大きいことからせっかく漁獲しても船上で活かしておくのは難しいようで、新鮮なうちに解体し、その肉を食用にしたり、肝臓から肝油を取るといった形で利用されることが多いようです。
実は筆者は以前、カグラザメの肉を分けてもらい、食べてみたことがあります。その肉質は水っぽく、味は他のサメと比べても淡白で、生では美味しいとは言えませんでした。
しかし、水分を抜くように加熱すると弾力が出て美味しく食べることができました。したがって調理法としてはフライなどが適していると考えられます。
といってもやはり貴重な魚、今後も水揚げのほとんどどは研究用になるかと思われます。多くの人にとっても、美味しいかどうかよりは「どんな生き物なのか」が解明される方が喜ばしいでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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