海釣りでは潮回りが大事です。月や太陽の引力によって潮が干満します。一日の中での潮の動きがあり、また周期的な潮の特徴を称して「大潮」や「小潮」などと言います。釣りに適しているのは何でも大潮だといわれますが、実はそうでもありません。ここでは潮回りを基本的にどのように考えればいいのか紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
潮回りとは
月と太陽の引力を人間が実感することはできませんが、それは潮の干満を見れば明らかになります。地球上で、海の水がどちらか側に引っ張られているときには、ある場所では潮位が低くなります。そしてその反対側の海では潮位が高くなっている、とそういうわけです。
一日の中でも潮位が高くなったり低くなったりするのは、そこに地球の自転という要素があるからです。そして、それが周期的に繰り返され、ひとつたとえるなら、もっとも強く太陽側に引っ張られる日と、もっとも強く月側に引っ張られる日があって、それを新月回りの大潮や満月回りの大潮などと言うわけです。
潮が動く量
次に大潮や小潮といった潮回りの言葉に解説していきますが、ここでの説明では、釣り人的な視線で「潮が動く量」を言うものとします。上のような科学的な言い方をするよりも、その方が直感的にわかりやすいはずです。
一般にいい潮といわれる潮
釣り人にとっていいといわれる潮は、まず「大潮」「中潮」です。潮の量がよく動き、潮位の数字上の表示で言うとマイナスになることもあります。
たとえば筆者の釣り場である大阪湾では、大潮の満潮で潮位150cm、干潮でマイナス7cmというタイドグラフもよく見ます。マイナス表記となると、水深が浅い海では干上がった状態になります。これもヘンな言い方をするみたいですが、水がないので、海底が露出している状態です。
大潮、中潮がなぜ釣りにいいのかといえば、魚の動きがはっきりとするからです。どんな魚も基本的に回遊するのですが、その動きが、明確に潮の上げ下げに絡みます。小さな漁港内のミオ筋でアジを見ているとわかるのですが、大潮の上げで入ってきて、下げで出ていくのは、もう目で見えたりします。
そして一般に潮が動くほどプランクトンが増殖し、ベイトフィッシュの活性が上がってそれを食べる捕食魚の活性が上がってという食物連鎖が起こり、魚が全体的に釣りやすくなるというわけです。
「小潮」も筆者はいい潮だと思っています。アジングをしていて居着きのアジをしっかりと釣りたいときには、むしろあまり潮位がかわらない小潮で釣りたいところです。そこへ小雨なんかが絡めば適度なアクセント。ある程度の潮位がある小潮は、すすんで釣行すべき潮回りといえます。ただ、後述する長潮、若潮に近づく小潮は、少し打ちにくいのですが。
悪いといわれる潮
「長潮」「若潮」はあまりいい潮ではありません。小潮の後にくる長潮は、あまり動かなかった古い潮が海に滞留した状態です。「若潮」は潮が入れ替わるタイミングで、それだけ聞けばいいような感じもするのですが、なかなかどうして魚は食ってくれないのです。
いい潮は自分の釣り次第
さて、ここまでが釣り人の一般的な潮回りの理解です。
結局、どんな潮回りの日に釣行すればいいのか?
一番いいのは大潮といわれます。確かに私もそう思います。海が活きいきとしていて、釣れるときには猛烈に釣れます。しかし、逆に大潮は下げが効きすぎると、水深が浅い海では絶望的となります。また潮止まりにピタッと魚の反応が止むのも大潮の特徴で、さらに「大潮初日はギャンブルだ」と私の知るボートシーバスの船長も言っていました。
筆者は中潮や小潮回りが好きです。私はショアのアングラーなので、大潮の痩せきった干潮の海では、魚が間違いなく少なくなるのが現実で、どうしようもありません。
青物を代表とする回遊魚はよく動く潮のほうがいいのは間違いありません。ただチヌやメバルなど居着きの魚は、あまり動かない潮でもパターンを作って釣ることができます。いい潮は、アングラーの釣り物次第です。
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<井上海生/TSURINEWSライター>
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