誘いのパターンを探り出す静かなる攻めの釣り!がまかつライブラⅡで迫る「LTアマダイ」必釣法

誘いのパターンを探り出す静かなる攻めの釣り!がまかつライブラⅡで迫る「LTアマダイ」必釣法

東京湾や相模湾では初秋に開幕し、冬に盛期を迎えるアマダイは一般的には手軽でやさしい釣物とされているが、後半戦に入るこれからの時期は、実は一筋縄ではいかないことも多々あるテクニカルなターゲットだ。

「タナ探りはもちろん、仕掛けを止める秒数や上下の誘いとその強弱や幅まで、やり込むほどに奥が深い釣り物ですよ」とは、がまかつフィールドテスター・田中義博さん。

その際に、強力な武器となるのが、感度と操作性に特化したLTロッド・ライブラⅡである。

「いや~今日は、本当に潮が流れなくて参ったよ(苦笑)」とは、取材でお邪魔した茅ヶ崎港「沖右エ門丸」の浜守淳船長。

そんな船長のコメントのように、取材日はアマダイのアタリが遠くて、田中さん以外の人では、25~35cm1~6尾だったが、田中さんは「アマダイは感度のいいライブラⅡで狙うのが最高に楽しい魚です」と、2本のライブラⅡを状況に応じて使い分け誘って食わせるパターンを探り、42㎝を頭に30㎝超4尾を含めて14尾で竿頭となった。

釣座は左舷の胴の間なので席による優位性は全くない。

「パターン」を探ればこれほどまでに釣果が伸びることを見事に証明してくれた。

そんな田中さんが展開した、「LTアマダイ」の必釣法を解説してもらおう。

解説:がまかつフィールドテスター・田中義博
写真・文:大山俊治

「攻めるLTアマダイ」のロッドとラインの選択

田中さんは、アジ、テンビン仕掛けのタチウオ、イサキなど様々なターゲットをLTスタイルで狙っているが、今回のアマダイも含めて、LTスタイルのロッドセレクトで重要なポイントは、まずは操作性と感度を優先にパワークラスを選ぶことだという。

比較的潮の流れが穏やかな相模湾での「LTアマダイ」は、道糸が3号以下ならオモリが60号、4号以上のノーマルタックルなら80号(「沖右エ門丸のレギュレーション)となっているので、ライブラⅡならML・M・MHの3機種どれでも使うことができるが、田中さんのチョイスはMH180をベースに、サブでM180という配備だった。

「ロッドは、軟らかいほうがファイト中のミスをカバーしてくれる面がありますけど、それと反比例して細かな操作の精度が下がります。この釣りは、コマセを使わずに付けエサのオキアミだけで勝負する釣りなので、先発は感度と操作性を重視したMH180ですね。M180は、海況が悪くて思った以上にオキアミが大きく動いてしまうことをセーブするために使うか、MHではできないスロー誘いを使い分けるための装備です」

アマダイは、40㎝を超える大型になれば、かなり鋭い三段引きを見せるので、ついつい軟らかめのロッドを選びたくなるが、懐の広いライブラⅡのテーパーは、ドラグさえ使えば50㎝級のアマダイを3号のハリスでキャッチできる十分な粘りがある。

ロッドは硬めのものを使うほど上達が早いと田中さんは言う。

このことを頭に置いてLTアマダイのロッドをセレクトしたい。

ライブラⅡの写真

ライブラⅡのMH180をベースに、状況でM180を使い分けるのが田中さんのロッドセレクト。「LTアマダイ」でもパワークラスで誘いの質を変える「ロッドマネージメント」は、武器になることは覚えておこう

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なお、田中さんが「LTアマダイ」に使用するラインはPE1.5号。

これは今回取材に訪れた「沖右エ門丸」のように、ラインの太さが違う「ノーマルタックル」との同船を考慮に入れた選択だ。

「直線強度的には、テンビン仕掛けのタチウオでも1号で十分なので、アマダイも1号で釣ることはできます。けれども、この釣りは水深90m前後の場所も釣る釣り物で、しかもノーマルタックル(ラインが3~4号)と同船ともなれば、オマツリした時には、100%細いラインのほうがブレイクします。だから高切れをある程度は防止できる号数のほうが安全でしょう。完全にLTスタイルで船内が統一されている船なら1号でもいいですけど、個人的には、そんなマージンも踏まえて1.5号をお勧めします」

この号数なら、先端に二重にした「サージェンスノット」のループを作りスナップを介してテンビンに直結で使えば、十分な感度は確保できる。

ラインは少々値が張っても、水の抵抗が小さくなる中級品以上の8ブレイドのモデルとしたい。

このぐらい水深が深いと、4ブレイドではかなり感度が悪くなる。

なお、LTスタイルの中では太いといっても、このクラスの号数は消耗が激しいので、必ず150m以上の長尺物を購入して、リールにはたっぷりラインを巻いておきたいところだ。

組み合わせるリールは、300~600番の小型電動リール。

ちなみにこのクラスよりも大きな電動リールでは、ものによっては細いラインがあらぬところに食い込んでトラブルになるので無理やり使わないように注意したい。

電動リールは手返しアップに便利だが、相模湾では、おおむね90m未満のポイントが多いので、フレームがしっかりした手巻きリールなら、極端なハイギアモデルでない限りは手巻きリールでもLTアマダイは可能だ。

チチワの写真

これがダブルラインを重ねて作った「サージェンスノット」によるチチワ。先端にツマミ糸を付けておけば着脱自在。ベースの結び目は5回巻きで、さらに余った端線で交互に6回編みつけて、結び目のズレを防止し「締まり切れ」を防いでいる

①サージェンスループ

②スイベルとループの連結

リールの写真

1~2号の細ラインに対応したスプールサイズの電動リールは、LTロッドのよき相棒。田中さんは、写真のシマノの400番と600番の左巻きモデルを愛用している

「パターンを探る」ための仕掛けとサポートアイテム

繊細にパターンを探ることを優先する田中さんは、仕掛けのすべてが感度と操作性を優先している。

だからテンビンはよくある弓型(アームが湾曲したもの)ではなく、必ず力の伝達がいい=感度の高いストレートアームのY字型と呼ばれる腕長20~25㎝のものを愛用している。

「ストレートアームのテンビンはやっぱり感度が違います。私は仕掛けの絡みが非常に少ないアマノ釣具/チドリ天秤No.305T型(現在は廃盤)を使っています。ハヤブサのスムースアームも悪くないですよ。アームの素材が軟らかすぎないことも重要です」とか。

チドリ天秤No.305T型の写真

田中さんがLTスタイルの釣物で愛用するチドリ天秤No.305T型。現在は廃盤だが、これに準じるストレートアームで腕長20cm前後のアームが軟らかすぎないY字型テンビンをセレクトしよう

市販のアマダイ仕掛けには、「小突き釣り」用の1~1.6m、スタンダードな2m、潮が速い場所用の2.5~3mと様々なものがあるが、田中さんはシンプルかつスタンダートな自作仕掛けで、どんなエリアでも実績を上げている。

「この釣りは、テンビンを介した仕掛けの角度や付けエサの動きをどれだけ明確にイメージできるかが勝負です。だから私は、極力シンプルな仕掛けで、釣れるパターンを探ることに集中しています」

田中さんの仕掛けは全長2m。

ハリが丸カイズ13号とやや大きめなことを除けば、極めてシンプルだ。

面白いのは、2本のハリが受け持つ仕事の違いで、仕掛けの中でもっとも重い親子サルカンから伸びる枝バリがアマダイを掛ける本命で、下に伸びる先バリは、底潮の速さによって変わる仕掛けの角度を探るセンサーという位置づけになるそうだ。

「ハリスは3号で、仕掛けのちょうど真ん中に#6×7の親子サルカンを介して30㎝の枝スをつなぎます。このバランスが、私にとってアマダイのタナを探るための基準になっています。集魚ビーズの類はゲストが多くなるし、仕掛けのバランスも狂うので使いません」と田中さんは言う。

なお、小さな工夫だが、ハリはチモトに1回だけ「枕(本線を巻き上げた端糸を直接ハリに巻く手法)」を入れて、アワセを入れた時に、ハリ先の向きを少し内側に向くようにしてハリを飲まれにくくしているそうだ。

この仕掛けでのバランスでどうしても吹き上がってしまう時に備えて、着脱自在の素材でできたガン玉は常備する。

「相模湾では、そこまで潮が速い日は少ないですけど、剣崎沖や館山方面のアマダイ場ではガン玉は必須ですね。タナを底から50㎝以下に下げても先バリにキダイ(アマダイよりも高いタナで喰う魚)が連発する日が珍しくないですからね」

仕掛けの写真

(上)がまかつ/丸カイズ13号で組んだ田中さんの標準仕掛け。2mというわかりやすい仕掛けの全長と#6×7の親子サルカンの比重を使いこなすことがパターンを探る第一歩。仕掛けの長さを使い分けるよりも早く正解にたどりつけるという(下)速潮にぶつかれば、狭いタナを探るアマダイ釣りではガン玉がないと勝負にならない。田中さんは、着脱自在な素材でできたラバーコートタイプの釣研/トーナメントガン玉カラータイプ赤の#5~3Bを常備してこれに備える。先バリから10~20㎝の位置に打ち仕掛けの角度を調整する

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アマダイ釣りの船では、大抵付けエサとしてオキアミが支給されるが。このタイプにも注意が必要だという。

加工されたハードコートタイプなら問題はないが、通常の冷凍オキアミでは、必ずひと工夫が必要だそうだ。

「この釣りは付けエサを動かして誘う釣りなので、オキアミが新鮮でないと仕掛けを沈める途中でも形が崩れて仕掛けが絡む原因になりエサ持ちも悪いしアタリも遠くなります。私は普通の冷凍オキアミが出てきたら、必ず添加剤で付けエサを締めてから使います。その船宿の付けエサの品質が確認できないケースでは、可能な限り加工されたオキアミを自分で用意するようにしています。いろいろ使った中で一番のおすすめはマルキュー/くわせオキアミ喰いこみイエローLですね」

ちなみに、冷凍オキアミを釣具店で購入するケースでは、できる限り色が「白い」ものを選ぶことがポイントだ。

赤くなったオキアミは網で採るとき圧迫されたものなので、身崩れが早く、付けエサとしてはうまくないことは覚えておこう。

エサの写真

(上)「沖右エ門丸」は、加工済みの付けエサが支給されるので問題はないが、乗船した船で冷凍オキアミが支給されたら、必ず「アミノリキッド」に5分漬けて解凍してから液を切り、さらに「アミノ酸α」と「ウマミパワー・エビ」の小袋各1を振りかけて身をしっかり締める。緩んだエサでは、アマダイは釣れないのだ(下)田中さんイチ押しの付けエサは、マルキュー/くわせオキアミ喰いこみイエローL。視覚効果アップのカラーに加えて、アミノ酸&ウルトラバイオαも配合。不凍加工で身持ちが良く付けやすいからアマダイ釣りにも最適だ

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「タナ探り&誘い」を兼ねた田中さんのメソッド

静かだが攻撃的に誘って食わせる「LTアマダイ」の釣技で、絶対に外してはいけないのが正しいエサの付け方である。

「オキアミの尾羽を必ずハサミでカットして、エサの外殻と身の間にハリ先をいれて、ハリの軸が外殻から透けて見えるぐらいの深さで真っすぐ通し刺しにします。エサが少しでも曲がっていると、海中で回転して仕掛けが絡みアタリが出ません。水中に仕掛けを落としてエサが回ってしまうようなら、面倒でも必ず付け直してください」

この釣りは狙う水深もそれなりに深いため、一度投入すれば、オキアミという極めてエサ取りに弱い付けエサで3分以上は誘うこともある。

だからこそ付けエサの品質にこだわり、他の釣り以上に丁寧にエサを付けるのである。

オキアミエサの装餌法

手順の写真

①オキアミの尾羽は必ずよく切れるハサミでカットする。指でちぎると切り口が潰れてハリ先を正確に通しにくくなりエサが回転する遠因になる

②ハリを固定したまま、ハリ先をエサの外殻と身の間に刺して、オキアミを静かにハリに沿って「送って」いくこと。ハリを動かすと真っすぐ刺せない

③こうして刺すとハリの軸が外殻ギリギリを通るので、オキアミの姿勢が崩れにくく、姿勢もご覧のように真っすぐ刺せる

釣行の写真

開始直後から小型ながら本命をキャッチ。仕掛けのコンセプト通りに枝バリを喰わせたパターンを捉えた1尾

釣行の写真

木の葉ぐらいのガンゾウビラメが先バリにきた。仕掛けの角度を読むための定番のゲスト。これが枝バリに喰うようでは、本命を喰わせられない

釣行の写真

アマダイと同じタナで喰うといわれているアカボラ。好む場所も本命と共通なので、これが釣れたら竿先に全集中で誘いたい

釣行の写真

本命とほぼ同じタナで喰ってくるイトヨリも定番のゲスト。鋭い引きは一瞬本命がきたかと期待させるほどだ

正しくオキアミを刺したら、仕掛けを振り子の要領で船からは離して投入する。

これはオマツリをセーブするひと工夫だ。

オモリが着底したら、ここからタナ取り&誘いに入る。

「まずは、オモリで底を2、3回小突きながら糸フケをしっかり取ってからタナを取ります。アマダイはそれほどタナが広い魚ではないので、オモリを底から1m上げたタナを基準に、上下で30~50㎝の幅でタナを探るのがセオリーですね」

タナを取ったら、静かに50㎝~1mほど誘い上げ、次にオキアミの落下する速度をイメージしてスローに元のタナまで誘い下げ、15~20秒止めてから再び底ダチを取ってタナを取り直す。

誘いとステイを2~4回繰り返してから、状況(エサ取りも含めた魚の反応)に応じて巻き上げてエサをチェックする。

掛かってくるゲストの種類やタナを取り直した時の水深の変化、底質などロッドから伝わる水中情報を積み重ねて、本命が喰うパターンを探っていくのだ。

「低活性時のアマダイは前アタリが非常に微妙で、❝エサ取りにやられた!”というアタリの何割かは、本命の可能性もあると私は思います。明確なアタリだけを釣っていては、渋い日は、なかなか数を伸ばせませんよ」と田中さんは言う。

なお、誘いのパターンを探るといっても、アマダイは早く大きな動きに反応することはマレなのは基本として押さえておきたい。

「ただし、海底に止まったままのエサでは、なかなかアタリが出ない魚です。その前提を踏まえながら静と動のメリハリをしっかりイメージして釣りたいですね」とのこと。

こうした習性から、潮が速い日には(剣崎沖ではよくあることだが)誘いすぎると釣れずに置き竿ばかりにアタるケースがあるのだ。

だが、田中さんはどんな時でもスタート時は基準となる1mのタナで15~20秒に1回タナを取り直し、海底の起伏をつかみ、船の移動速度≒潮の速さをいち早くつかむことを行っているのだ。

LTアマダイ「必釣」の誘い方

手順の写真

①着底したら、写真のフォームで糸フケを取りつつ3、4回オモリで底を叩く。これによって砂煙を上げてアマダイにアピールする効果もある

②ロッドの操作により、きっちり1m=基準のタナを切り15~20秒ステイ。なお、潮の速さにより基準のタナは上下に30~50㎝上下させて調整する

③基準のタナから静かに30~50cm誘い上げる。ここでアタリが出れば、誘い上げる動きがアタリのパターンとなる

④誘い上げたら、オキアミの落下速度をイメージしながら基準のタナまで誘い下げて再びステイ。待つ時間は状況により15~30秒と変えてみる

通常、アマダイの前アタリは竿先に小さく出るので、これに対応して聞きアワセをするのがセオリーだ。

だが、潮が流れない日はこの前アタリが恐ろしく微妙になる。

「今日は、ガイド1個分ぐらい微妙に竿先が入る前アタリが多かったですね。軽いライブラⅡでも手感では分からないレベルです」と田中さん。

例えるなら、落ちハゼの「モタレ」のような変化で、私も横からティップを凝視してみたが、それでもやっと分かるか分からないかぐらいだった。

「今日は潮が流れないから、船長が船を動かしてカケ上がりを流してくれたので、後半は1.5mに基準のタナを取ってから1mまでの落とし込みを軸に攻めてみました。ステイの時間も30秒ほどとったほうがよかったですね」と田中さん。

この前アタリを感じたら、魚の反転を引き出すために静かに聞きアワせると明瞭なアタリが出るので、手巻きで数m巻きアワセを入れハリ掛かりに持ち込んでから、中低速で電動のスイッチオン。

巻き上げの途中に3回ほど鋭い突っ込みがあれば本命だ。

取材当日、パターンをつかんだ田中さんは尻上がりに調子を上げ、本命がダブルでヒットした直後となった最後の1投では当日最大42㎝を仕留めてしまった。

終わってみれば冒頭のように断トツの竿頭。

まさに「LTアマダイ」の真骨頂。

誘って食わせて自ら掛けにいくLTスタイルの有効性を、見事に実証してくれたのだった。

釣行の写真

船長もびっくりの本命のダブルヒット。35㎝と25㎝のダブルだったが、良型はきっちり枝バリにヒットしていた。アマダイは、極めて狭いスポットに密集している魚なのだ

釣行の写真

最後の1投で掛けたアタリは、ひときわ重く鋭い引きを見せる。ライブラⅡシリーズは、魚が掛かれば7:3→6:4へキレイに曲がり込む。これはMH180でのファイトシーン。この魚が予想以上の獲物だった・・・

釣行の写真

最高の1日を締めくくるフィナーレは42㎝のグッドサイズ。激渋の中で船中最大の1尾。田中さんのパーフェクトなゲーム展開に脱帽の一幕だった

沖右エ門丸に乗ってアマダイを釣りに行こう!



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