河川の枕詞でもある「一級・二級」という言葉。何となく水質の綺麗さでランクされていると思っていませんか?実は違うんです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
日本にはたくさん河川がある
私たちが普段生活している場所にはたいてい河川があり、私たちの生活に深く関係しています。日本には30,000以上もの河川があり、農業用の水路などを含めるとその数は計り知れないものになります。
そんな中、たまに聞く「一級河川・二級河川」というワード。河川の中でもランク付けがされているのですが、これが一体どういう基準で、どういうものなのかはあまり知られていません。
中には流域幅や長さ、美しさなどを基準に評価していると思っている人もいるのではないでしょうか。
今回はそんな河川の基準やランク付けの理由などについて調べてみました。
「一級河川」の意味
「一級河川」とは、河川の等級の1つです。正確には「一級水系に関わる河川のうち、河川法に関わる管理を行う必要があり、なおかつ国土交通大臣が指定した河川」を意味します。
「河川」は、上流部から海へ向かうにしたがい、小さな流れがあつまって次第に大きなものへとなっていきます。この小さなものや大きなものから成る一群の「河川」をまとめて、「水系」と呼んでいます。
1965年に施行された「河川法」では、国土保全上、国民経済上特に重要な水系でかつ指定された水系を「一級水系」としており、この「一級水系」のうち、国が管理する河川が「一級河川」にあたります。
「一級河川」の例としては、青森県の「岩木川」や岩手県・宮城県の「北上川」、東京都の「江戸川」などがあります。
一級河川の数は?
この一級河川、日本全国で見てみると実は14,000にも及びます。
30,000あるうちの14,000と考えると、多くの川が一級河川だということが良く分かりますね。
ちなみに、全体の川のことを指す一級水系は109存在するようです。
「二級河川」の意味
「二級河川」もまた、河川の等級の1つです。
「二級河川」は、「一級水系以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係わる河川」で、なおかつ「河川法による管理を行う必要があり、都道府県知事が指定した河川」を意味します。
「二級河川」の例としては、岩手県の「久慈川」、東京都の「渋谷川」、「呑川」、長崎県の「川棚川」などがあります。
このように、「一級河川」と「二級河川」は、同じ河川でも水系が違います。「二級河川」は、一級水系よりも流域面積が小さい「二級水系」に属しています。そのため、「一級河川」と「二級河川」が同じ水系に存在することはありません。
また、「一級河川」は国土交通大臣が指定し、「二級河川」は都道府県知事が指定する点も違います。
二級河川の数は?
二級河川の数は一級河川よりも多くなりそうなイメージですが、実は反対で約7,000程度しかありません。
しかし、水系自体は2,713にも及ぶようです。
大事なのは重要度
難しい言葉がたくさん並びましたが、要は誰が指定し、誰に影響が大きいのかということです。
一級河川の場合は【国土交通大臣が指定する国民全体への影響が大きい河川】となり、二級河川の場合は【都道府県知事が指定する都道府県への影響が大きい河川】なのです。
どちらも私たちの生活において非常に重要であることには違いはありません。
そして、ここでの影響力というのは、飲み水などの上水や、排水などの下水へ影響だけではありません。災害時により大きな被害が出るというのも影響力には含まれています。その河川が災害時により大きな被害をもたらす可能性がある。というのも忘れてはいけません。
それ以外は何級?
ちなみに二級以降に三級、四級と存在するのかというと、存在はしません。上でも解説しましたが、この一級、二級という言葉はランク付けではないのです。
ですが、一級河川、二級河川以外にも河川は存在し、それらは準用河川と普通河川に分類されます。
ちなみにこの準用河川は「市町村が指定した河川で市町村への影響が大きい河川」を指し、普通河川は河川法の適用を受けないそれ以外の河川を指しています。
自分の住む町に流れる川は?
自分の街に流れる河川が一級なのか二級なのか実は多くの方は知らないのではないでしょうか。実はネットなどで調べずとも、川に掛かっている橋などに書いてあることも多いです。
近所を流れる川を知ることで、万が一の時に備える一因になればと思います。
<近藤 俊/サカナ研究所>
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