Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意

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この春は銭洲・金洲でシマアジが好調とのことです。シマアジは力も強く、また口切れしやすい魚ですが、それ以前になかなかアタリを出すことができません。アタリの出し方のコツを教えてください。

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(アイキャッチ画像提供:WEBライター・近藤惣一郎)

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意

診断結果

シマアジ釣りでは、その時その時の状況でしっかり底をとり、底でコマセを振りだし、コマセ煙幕中に仕掛けをイメージして誘導することがアタリを出す必要条件です。

処方箋

シマアジはパッと出たコマセに突っ込むように反応するので、長い仕掛けはよくありません。長さは2~3m、これ以上長くなるとシマアジのアタリは出にくくなります。さらに、潮の向き、速さ、船の動き、海底変化などに応じて確実に底をとり、コマセと仕掛けを同調させるのがアタリを出すキーポイントです。今回は大型をバラさず取り込むコツも交え、シマアジ釣りの基本を紹介します。

シマアジとは

シマアジはアジ科ですが「シマアジ属」という独自の属目を持った種です。通常のアジとは、生態はもちろん形状にいたるまで異なる点が多く存在します。シマアジの体は一般に知られているアジと比較して丸みがあるのが特徴です。また、体に横向きに走る黄色いラインは、この魚の名前の由来にもなっているほどの個性的な模様と言えます。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意イエローラインが美しいシマアジ(提供:TSURINEWSライター近藤惣一郎)

ただ釣りものとしての人気は体長が成魚で120cmほどの大きさにまで成長するということです。力が強い一方で、他のアジ同様口が軟らかいので、強引なやりとりだと口切れでバレてしまいます。それがより釣り人を熱くし、この釣りのフリークが多い理由でもあります。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意10kg超の大型もヒットする(提供:TSURINEWSライター近藤惣一郎)

シマアジ釣りのタックル

では、そんなシマアジを取り込むのに必要なタックルを紹介します。

ロッド

ロッドはビシ80~100号を背負える7対3調子。シマアジの引きは強烈です。その一方で口が軟らかい魚です。頑強なワンピースロッドを想像するかもしれませんが、5kg以上の大物が掛かるとはいっても、硬過ぎるロッドを用いれば口切れでバラしやすくなります。

正確な底取り、タナ取りができる操作性、オオカミクラスが掛かった時でものされないバットパワー、そしてやりとりでバラさない柔軟性、これらを兼ね備え、終日手持ちで釣りが行える2m前後のものがお勧めです。オオカミクラスを狙うのであれば私が用いるショットバイパーM-210、感度のいい釣りで数を狙うのであればショットバイパーM-225SMTがお勧めです。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意私のシマアジタックル(提供:TSURINEWSライター近藤惣一郎)

リール

リールは小中型電動リールにPEライン4号を300m収納できるもの。とにかくこの釣りはドラグ性能がいいものを選択することが重要です。ダイワなら300番クラスです。ただしオオカミクラスもターゲットにするなら500番にPEライン5号をセットするのがいいでしょう。

ミチイト

ミチイトは3号以下だと強度的にもオマツリの時に傷つきやすい点でもよくありません。ただ6号以上の太すぎるミチイトは潮の抵抗を受けイトふけができやすくなり、この釣りのキモである正確なタナ取り・コマセワークができなくなります。

シマアジ釣りの仕掛け&エサ

続いて、仕掛けとエサについて要件と注意点、工夫などを紹介します。

仕掛け

コマセがオキアミのみ、あるいはオキアミとアミエビのミックスのコマセ釣りになります。シマアジの仕掛けはウイリー仕掛けが代表的ですが、シマアジ専用バリや遠征五目の15号あたりの空バリ仕掛け、先バリのみ空バリのウイリー仕掛けなど状況によって使い分けるのがいいです。

シマアジはパッと出たコマセに突っ込むように反応するので、長い仕掛けはよくありません。長さは2~3m、これ以上長くなるとシマアジのアタリは出にくくなります。

市販仕掛けには3m4本バリなどがありますが、ハリ数が多いと仕掛け絡みや根掛かり、サバが掛かりやすいこともあるので、この場合は一番手前の枝でミキイトをカットして2.6m3本バリくらいで用いた方が、トラブルなく扱いやすいうえ、ヒットしやすい印象があります。

クッションゴムの長さにも注意が必要です。1mだと長すぎます。強度のあるもので50cmあるいは30cmがベストです。幹・ハリスの太さは8号がスタンダード、大物が回っているときは10号。6号など細くしてもアタリが増えるわけではなく、大物が掛かったときにバレるリスクが高まり、仕掛けの扱いもハリスが太い方が楽なのです。

エサ

ウイリーバリはその性質上さしエサを付けなくてもいいと考えられますが、私は空バリ、ウイリーバリともに5mm×2cmほどのイカタンを基本付けることにしています。必ず先バリにはオキアミも付けます。大型や食い渋りの時はやはりさしエサが付いていた方がヒットしやすい印象があるのです。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意先バリにはイカタンとオキアミをセット(提供:TSURINEWSライター近藤惣一郎)

それと、潮が濁っている時や魚探で感度があっても食ってこないようなときは、蛍光やケイムラ色のワームを用いることでヒットが出やすくなった経験があります。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意状況によってはワームでアピール(提供:TSURINEWSライター近藤惣一郎)

ただ、サバが多い時はウイリーバリやこのようなアピール系のワームを付けると仕掛けを落とす途中でサバが掛かってきてしまいます。そのようなときは コマセの放出も絞り空バリのみの2本バリ仕掛けがいいでしょう。

シマアジの釣り方

続いて釣り方を解説します。

基本の誘いとコマセワーク

銭洲や神津島、金洲などの岩礁帯では浮いていることもありますが、シマアジのタナはベタ底です。

外海はうねりがあったり、潮が速かったり、また海底形状も複雑なことが多いです。ウイリーの色やさしエサにこだわる以前に、その時その時の状況でしっかり底をとり、底でコマセを振りだし、コマセ煙幕中に仕掛けをイメージして誘導することがアタリを出す必要条件です。

素直にビシが船下に下りてミチイトが垂直に立つ時は、ビシ着底後30cm~1mほど巻き上げ、しっかりコマセを振り出します。そしてコマセの中にハリを誘導するイメージで仕掛け長の半分ほどゆっくりリールを巻きます。アタリはこの巻いている時に出る場合もあるので、サオ先をぶらさず注視して丁寧なリーリングが必要です。しばらく待ってアタリがなければ再度ビシを底に下ろし同じ操作を行います。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意美しい天然のシマアジ(提供:TSURINEWSライター近藤惣一郎)

状況に合せ臨機応変に

ただ実際、そのような素直な条件だけではありません。二枚潮や速潮でミチイトの傾きが大きくなったり、カケアガリがポイントになったりすることが多いのです。仕掛け落下中、ミチイトの傾きが大きくなるときは臨機応変にリールスプールにサミングをかけて少しでもイトふけを少なくします。

ビシの着底を確認したらいきなりコマセを振り出さず、ミチイトの傾きができるだけ少なくなるよう数回底をとり直しつつ、ビシが船下に近づきイトふけが少なくなった時点でコマセを振り出し、仕掛けをコマセ煙幕に誘導します。

潮が速くビシが浮き上がる場合は、コマセを振ったらリーリングせずそのまま仕掛けが張って、そこにコマセが流れるイメージでアタリが出ることもあります。

とにかく潮の向き、速さ、船の動き、海底変化など、その時の状況に応じ、確実に底をとり、コマセと仕掛けを同調させる。それがシマアジのアタリを出すキーポイントなのです。

アタリ・やり取り

アタリはサオ先が震えるような形で小さく出ます。イトふけを静かにとり、魚が走るタイミングでアワセを入れます。この走りは魚の大きさに比例して強くなります。口切れしやすいので、リールドラグは中程度から若干弱めです。緩めすぎるのもハリ掛かりが悪くなるのでよくありません。サオ先は立てず、海面に向けつつイトの出方、引き込み具合で魚の大きさを把握します。

良型の場合は電動巻き速度をダイワなら10~15程度の中速巻きで、魚が走ったときはイトが出る程度に一定に保つべく、こまめにドラグ調整を行います。

船の揺れが大きい場合はサオ先の上下で緩衝してラインテンションを保ちます。力任せにガンガン巻き上げたりポンピングしたりすれば、必ずと言っていいほどバレてしまうのがシマアジなのです。やりとりは慎重に行わなければなりません。もちろん取り込みは丁寧にタモですくいます。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意慎重にやり取りしよう(提供:TSURINEWSライター近藤惣一郎)

シマアジ料理

天然物のシマアジは希少価値があり脂が乗って味は抜群です。市場では一匹数万の値がつく高級魚です。何といってもお造りが一番です。大きなものほど数日ねかせた方が脂も廻り旨みが出ます。ぜひ貴重な一匹を釣り上げ、食べてみて下さい。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:「シマアジ」釣りの極意絶品の刺し身(左)とお茶漬け(提供:TSURINEWSライター近藤惣一郎)

<近藤惣一郎/TSURINEWSライター>

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