【釣った海水魚を飼育してみよう】準備編:サカナの捕獲について

釣りをしていて小さくてかわいいサカナが釣れた時「家で飼ってみたい」そう思ったことありませんか?その希望を実現するために、家庭でも比較的簡単にできる海水魚の飼育方法をこれから数回に渡って紹介していきます。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

【釣った海水魚を飼育してみよう】準備編:サカナの捕獲について

飼育するサカナは自分で捕獲

釣りをしていると、身近に感じられるサカナたちも多くなってきて、実際に泳ぎ回っている姿を間近で見てみたいという衝動にかられる事は多い。ただ、淡水のサカナとは違って、海水魚はそれなりの敷居の高さがあるのも否めない。が、基本をしっかりと習得しておけば、それほど難しいものではない。

今回からスタートした企画「釣った海のサカナを飼ってみよう」の第1回は飼育するサカナの入手方法だ。自宅でサカナを飼ってみたいと思った時、そのサカナを入手する方法はいくつもある。ペットショップや熱帯魚屋で購入するのも手だし、タイドプール(潮だまり)などに出かけて網ですくうのもOK。しかし、せっかくなので、今回は自分で釣ったサカナを飼う方法をメインとして紹介しよう。

エサ取りも飼えば可愛い?

秋は、五目釣りに代表されるように、魚種多彩な豊穣の海が広がる。もちろん、釣りをする上では、本命狙いのジャマをしにくるエサ取りやゲストであったりもするけれど、そんなサカナたちも見慣れた身近なサカナである事にかわりはない。

普段は厄介なエサ取りも、実際に自宅で水槽に入れて飼ってみると意外な生態が分かってきたり、かわいいものである。気温は下がってもまだまだ波止回りには賑やかなサカナたちがいるので、今のうちにサカナの飼育を始めてみよう。

飼育には「小物」が最適

釣り人にとって大きなサカナを釣る事は夢であり、そんなサカナを身近に置いておきたいのは分かる。が、自然の大海と違って家庭で置ける水槽には限度がある。また、大きな水槽になればそれだけ大量の海水が必要だったり、海水をきれいに維持するための装置も大がかりなものになってくる。

と言う訳で、今回の基本ラインとしては家庭でも扱いやすい、幅30~60cm程度の水槽を想定したい。そのくらいの水槽に適したサカナと言えば、習性にもよるがだいたい体長は10cmまでがいいだろう。

ただし、泳ぎ回るサカナやジッとしているサカナなど、生活スタイルによってはもう少し大きめのサカナを飼えたり、さらにサカナを小型にしないと無理だったりする。その辺りは次回以降に紹介するが、今回は波止回りにいるサカナを捕まえる釣りについて紹介する。

小魚が狙える場所

飼育に適した小型魚が多く潜んでいるのは、大型の外敵から身を守る事ができる障害物の周りである。それは小魚が逃げ込める起伏や隙間が多い岩礁帯、人工的に作られた石積みや桟橋などの障害物、海藻の繁茂するエリアなどが挙げられる。【釣った海水魚を飼育してみよう】準備編:サカナの捕獲について人工的な障害物周りが狙い目(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

大阪湾岸の浅場でよく見かけるサカナとしては、ベラ類(キュウセン、ホンベラ、イソベラ)、メバル、チャリコ(マダイの幼魚)、チヌ、アイナメ、クジメ、ガシラ、ウミタナゴ、ハオコゼ(毒棘に注意)、クサフグなどが挙げられる。ほかにもちょっとした海域の違いでサカナの種類がかわるので、慣れてくれば、採集エリアを変えるのも面白いだろう。

【釣った海水魚を飼育してみよう】準備編:サカナの捕獲について和歌山で釣れたコロダイの幼魚(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

足元のサカナを狙おう

障害物の多い場所で海を覗いてみると、本当に数多くのサカナが泳いでいるのが見えるはず。狙うのはそんな足元を泳ぎ回っている小魚たちだ。

というのも、仕掛けを遠くへ投げる投げ釣りやチョイ投げなどではハリにサカナが掛かってから回収するまでに水中を引きずり回す事になり、サカナが弱ってしまう。サカナがハリに掛かってからすぐに釣り上げられるのがサカナを弱らせないコツだ。

持ち帰りはクーラーボックスで

飼育したいサカナを持ち帰るためには、釣りでも使用しているアイテムが転用できる。釣り具は、後述するがシンプルなノベ竿での小物釣り用タックルで十分だ。サカナを持ち帰るにはバケツなどが必要だが、こちらは酸素欠乏を起こさないよう、電池式のエアレーションが付いているのが望ましい。なければ釣具店などで売られている泡の出る錠剤もあるので利用したい。

【釣った海水魚を飼育してみよう】準備編:サカナの捕獲についてエビ生かしクーラーが活躍(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

サカナを入れるバケツはできれば水温の変化を抑えたいので、保冷、保温のできるクーラーボックスタイプが理想だ。たとえば、エビまきに使うエビ生かし用のクーラーが電池式のエアレーションも取り付けやすくて最適だ。

持参する釣り具

浅い場所で泳いでいるサカナを釣るのには、シンプルにノベ竿での1本バリの釣りをオススメする。ウキは付けても付けなくてもOK。気を付けたいのはハリ。あまり小さいハリだと飲み込まれてしまって元も子もなくなるので、やや大きめのハリを使う。

【釣った海水魚を飼育してみよう】準備編:サカナの捕獲についてタックルはシンプルだ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

タイプとしてはカエシのない細軸のスレバリが基本。具体的にはハエ用、ヘラブナ用、マス用などがよく使われる。大きな号数のハリを使う理由は飲み込まれないためと、もう一つ、サカナを持たずにハリを持ってサカナをハリから外しやすいためだ。

【釣った海水魚を飼育してみよう】準備編:サカナの捕獲について飼育魚狙いの仕掛け例(作図:TSURINEWS関西編集部・松村)

暴れさせる時間を短く

エサは狙うサカナによって、虫エサであったり、オキアミやサシアミなどであったりするので、少量ずつを持参しておきたい。

サカナがエサを食ってくるのが見えるくらいの浅いタナで釣るのを基本として、サカナがエサを食ったらすぐに上げる。その時に、急激に抜き上げずにあくまでもソッと…が基本だ。釣り上げたサカナは空気に触れる時間をできるだけ短くしたいので、素早く持ち帰るバケツに入れてやろう。

タブーは手で触ること

この時、ハリを外すのに手でサカナを掴むのはタブー。人間の体温はサカナが通常暮らす水中よりも遙かに高いので、サカナにとっては火傷をするくらいの熱さと思っておくといい。また、水槽でサカナを移動する時に使う、小型のネットも魚体をこするため、粘液などが剥がれるなど、サカナにはあまりよくないので、できれば一切サカナに触れずにハリを外してバケツの中に放してやりたい。

キープのし過ぎは傷の素

注意点としては、欲張ってあれもこれも…とキープしすぎない事。狭いバケツやクーラーボックスの中で泳がせていると、サカナどうしがぶつかって傷付く場合もあるからだ。最初にいろいろとキープして帰りがけにサカナを選別して持ち帰るなら、現地でサカナを泳がせておくためのバケツを複数用意しておこう。

次回は「専門家に聞く!飼いやすいサカナと飼いにくいサカナ、元気に持ち帰る方法」などを紹介予定。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>



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