大阪湾の船タチウオはテンヤでの釣りが主流。このテンヤに付けるエサは、古くから親しまれているイワシと、10年ほど前から登場し、今や「これがないと始まらない」と言う人まで居るサンマが2大エサだ。今回は、初心者にこそ使ってもらいたいサンマエサについて解説しよう。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
テンヤタチウオ用のエサ
大阪湾の船で使われるテンヤ用のエサのうち、イワシは古くから親しまれており、各船宿でもイワシの入手経路が確立している事もあって、常備されている場合が多い。ほとんどの場合はマイワシで、体長13~15cmできれいに冷凍された状態で購入したり、船宿から渡されたりする。
イワシの付け方はテンヤのヘッドのすぐ後ろにアゴ先を持っていき、テンヤに付いているエサ止めの剣に突き刺して、ワイヤーでグルグル巻いて取り付けるのが主流だ。
最近では頭をカットして付ける場合もあるが、これはシルエットを小さくして、ハリの軸よりもイワシが大幅に長く出るのを防ぐためでもある。イワシの尻尾部分がテンヤの軸よりも長く出過ぎていると、アピール力は高まるかわりに、後方に飛び出した部分だけをかじられる可能性が高くなる。
ジグヘッドに頭部をカットしたイワシを付ける事で、ジグヘッドがイワシの頭に見立てるのである。
また、最近ではワンタッチでイワシを付けられる便利なテンヤも発売されており、イワシエサも依然、人気なのは事実である。
さて、対してサンマエサである。こちらはエサ用に加工されたものがエサ店などに置かれているが、サンマエサを常備している船宿は極端に少ないのが現状だ。基本的にサンマエサを使用する場合には、持参すると言う事になる。
サンマエサのメリット
テンヤエサの概要が分かったところで、この記事のテーマであるサンマエサが初心者にお勧めな理由に入ろう。
1、エサが取られにくい
サンマエサの最大の特長でありメリット部分なのが、イワシに比べるとタチウオが食いに来た時に、遙かにエサ持ちがいいところ。理由は簡単で、サンマの場合、イワシに比べると身も皮も固く、特に塩でしっかりと締めたサンマの身はかなり身持ちがいい。
イワシは下処理をするのに包丁要らずで、指で身を開く事もできるくらい軟らかいのだが、これは食いはいい分、取られやすいエサということでもある。それでも、慣れてくるとエサが取られないようにうまく釣る人も多く、食いがいい分よく釣るという結果に繋がりやすい。
ただ、あくまでも「慣れた人」であり、エサが取られやすければ、初心者にはなかなか効率が悪い釣りとなる事が多い。
2、エサの大きさを調整しやすい
サンマエサの付け方は、人によりいろいろとあるが、もっとも簡単なのは、サンマの片身を背と腹側に切り分けた長い棒状のエサを2つに折って、エサ止めの剣に刺し、ワイヤーで巻く方法だ。
2つに折る時に、センターよりも少しズラしてやると、片側が長くなり、その分、後方へはみ出る形になる。これはイワシ同様、長くはみ出した方がアピールはできるが、その部分だけを取られやすくもなる。
また、サンマは切り身なので、1本にこだわらず、重ねて巻き付ける事で、ボリュームも出る。複数枚使うことで、ボリューム感や長さの調子がかなり簡単に調整できる事も、初心者にはいろいろと試す機会に繋がる。
「少し尻尾の先を長めに出したら釣れた」とか「身を2枚重ねて大きめに付けるとアタリが増えた」など、比較的、やっている事が明確にかわってくるので、分かりやすいのが特長だ。
3、身崩れを起こしにくい
冷凍のイワシは内臓ごと冷凍されており、解凍してしばらくすると内臓部分がかなり軟らかくなって、腹が割ける事もある。特に夏場には高温により身の劣化が早い。
これを防止するためには、エサをクーラーボックスなどに入れて冷やしておく必要がある。それでもやはり1日釣っていると身が柔らかくなってくるのは仕方ないことだろう。
対して、サンマは切り身で内臓も取ってあるから、クーラーボックスに入れておくだけでも、イワシに比べ身の劣化が少ない。ある程度しっかりした身を保持できればテンヤに付ける時もかなりワイヤーを巻きやすい。
以上、3つのメリットを挙げたが、これらを総合的に考えるとさらにメリットが生まれてくる。
サンマは何より手返しが良い
サンマエサを使用した時、「身持ちのよさ」により、アタリがあっても、タチウオの鋭い歯に負けず、エサが残る。エサが残れば、何度でもタチウオがアタックしてくるので、結局はハリに掛かるまで何度でもタチウオを掛けに行く事ができる。
1尾を釣っても全くエサが付いた状態のまま上がってくる事が多々ある。と言う事はエサの交換がその時点で不要なため、手返しが良いというメリットに繋がる。タチウオは群れで行動するので、1尾釣れた場所では、続けざまに手返しよく釣って数を稼ごう。
そして、最近はサンマをハリに軸の直線部分だけに、かなり小さく付けている人をよく見かけるようになった。ボリューム的には小さくなるが、それでもタチウオがアタックしてくれば、余計な部分に食いつかず、ハリの軸部分を食ってくるので、すぐ横にはテンヤのハリ先があって、掛かりやすいと言うあんばいだ。
「今年こそ、人気の船タチウオに挑戦しよう」とか「今までイワシしか使った事がなくて、エサが取られて苦労した」という人にはぜに試していただきたい。
エサ用サンマの購入
さて、船宿にあまり常備されていないサンマなので、使用の際には自分で用意する必要がある。もちろん、最近はエサ店ではテンヤタチウオ用のサンマが発売されているので、購入しても構わないが、案外高値なので、それだけでまかなうのには少し気が引ける部分もある。
サンマエサは基本的にスーパーで売っている塩サンマなどを利用する。時々、スーパーなどを見て回って、特売などでサンマが安価に販売されているタイミングがあれば素敵。塩サンマは冷凍でもかまわないので、業務用のスーパーや大型ディスカウント食品スーパーなどでは、比較的安価に入手できる事が多い。
全て、食用として発売はされているのだが、エサにする分、味や質にこだわる必要がないので、できるだけ安価なサンマを探す事が節約に繋がる。筆者の場合は、「超お得」と思えばまとめて20尾や30尾といった単位で購入しておく事が多い。
サンマの下処理と保存
購入したサンマは冷凍ならそのまま冷凍庫へ入れておけば、何もせずに保存は可能(ただし、釣行前に処理はしないといけないが)。解凍されているサンマなら、持ち帰ったらすぐに3枚に下ろし、背と腹側の身に切り分ける。
100均ショップで売られているようなフタ付きのタッパー(浅くて広いものがオススメ)などに塩がキッチンペーパーを敷いて、身を並べたら上から多めに塩をかぶせておく。早めに使用するなら、塩漬けにしたまま冷蔵庫保存でOKだ。
硬さによるバリエーション
注意点としては、塩をしてから時間が経つと、どんどん水分が抜けていき、使用はできるがかなり硬い身エサができ上がる。これはこれで、活性が異常に高く、サンマエサであってもボロボロに食われるような時に役立つので覚えておこう。
あまり硬くしない方がいいなら、塩をしてから冷凍庫へ。釣行前に解凍して、さらに塩で締めて使えばOK。
また、最近ではアミノ酸系の添加材なども釣りエサなどのメーカーからかなり出回っていて、食いを促進させる意味で、塩と一緒に混ぜ込んでかける人も多くなっている。
さらに軟らかい身エサが使いたければ、スーパーで時々販売される「生サンマ」を使用する。最初から塩に漬けられていない分、身が軟らかいので、食い込みはいいが取られやすくもなる。
慣れてくると、自宅でサンマの加工をしつつ、軟らかいタイプのサンマや硬いタイプ、さらに硬いタイプなどなど、同じサンマの身でもバリエーションを作る事ができるので覚えておくと役立つかも。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>
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