波が立つ原理と種類を解説 『一発大波』と『浅海効果』に要注意!

海釣りを愛するアングラーにとって、風に次いで気になる気象状況は波の高さではないでしょうか?「風が吹いたら波が立つ」というのは容易に想像できると思われますが、風がないのに波(うねり)で出船できないことも多々あります。今回は波について調べてみました。

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(アイキャッチ画像出典:pixabay)

波が立つ原理と種類を解説 『一発大波』と『浅海効果』に要注意!

波高、波長、周期とは?

まず、波は大きくいうと波高、波長、周期で表わされます。波高とは、波の峰から谷の高さを言います。そして、波の峰から次の波の峰までの距離を波長といい、一つの波の峰が通過してから次の波の峰が来るまでの時間を周期といいます。

波が立つ原理と種類を解説 『一発大波』と『浅海効果』に要注意!波の三要素(作図:TSURINEWS関西編集部・中西))

有義波高

天気予報で使われている波高は有義波高といって、一つ一つ違う波の状態を分かりやすく表すために、100個以上の連続的に観測した波の高さから波の高い順に3分の1の観測値を平均したものです。このように有義波は統計的に定義された波ですが、観測者が目視で観測する波高に近いと言われています。

そして、一口に「波」といっても、厳密には「風浪」と「うねり」に分類されます。

風浪

風浪とは、文字通り風によって作られる波のことで、波が進む速さより風速が大きければ、波は風に押されて発達を続けます。特徴としては、風向と波向が一致して、波の周期が短いことが挙げられます。

風浪は風速が大きいほど波高が高くなり、同じ風速であっても同じような風向の風で吹走距離(風が吹く距離)が長いと、同じく波高が高くなる性質があります。

うねり

一方うねりは、風浪が風の吹かないエリアまで進んだり、風速が弱まったり、風向が変かわってしまったりして、風による発達がなくなった後に残されるものをいいます。うねりは風浪に比べて波の波長が長く、減衰が起きにくく、遠方まで伝わりやすい性質があります。

土用のころ、風は弱いのに波が高くて出船できない場合がありますが、これは千kmも南にある台風周辺で発生した波が、日本の沿岸まで伝わってきたものなのです。

波が立つ原理と種類を解説 『一発大波』と『浅海効果』に要注意!風浪とうねり(作図:TSURINEWS関西編集部・中西)

釣りで注意したい波

さて、これまでは大まかに波というものを見てきましたが、実際釣りをするにあたって気を付けたい波の性質を紹介します。

複数の大波が偶然山同士、谷同士で重なると、思いがけない大波が出現します。統計的に10波に1波は有義波高の1.3倍、100波に1波は1.6倍、1000波に1波は有義波高の2倍に達すると言われています。数千あるいは数万波に1波は有義波高の数倍となることもあり、これを一発大波(いっぱつおおなみ)と呼んでいます。

一発大波の発生頻度はかなり少ないと思われますが、通常より大きな波がたまに起こるというのには注意が必要です。足場の低い場所での釣りでは、安全マージンを十分取って楽しみましょう。

また、波が水深の浅い海域(浅海域)に進入したときに、海底の影響を受けて波高、波速、波長が変化する、浅海効果と呼ばれる現象にも注意が必要です。浅海効果には浅水変形、屈折、砕波、反射、回析などがあり、思わぬところで大きな波が立ったりします。

以上、風がなくても波がある場合、思わぬ大波が発生する場合など、海釣りにおいて波は命にかかわることも多々あります。船でも波止でも、油ず、波の変化に注意しながら釣りを楽しみたいですね。

<中西/TSURINEWS・関西編集部>



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