台風通過時のサカナの行動を海水・淡水別に解説 避難場所は海が豊富?

9月~10月にかけて日本列島を襲う【台風】。人間にとっては「水」をもたらしてくれる一方で、暴風や高波などによる被害を与える存在でもあります。では、サカナにとってはどうでしょう。今回は、台風がサカナに与える影響を解説します。

(アイキャッチ画像出典:pixabay)

台風通過時のサカナの行動を海水・淡水別に解説 避難場所は海が豊富?

台風とは

熱帯または亜熱帯低気圧が、発達して最大風速17m以上になったものを「台風」と呼びます。最大風速15m程度で、人が風に向かって歩くことが困難になり、20mを超すと、車の走行でさえ通常速度では難しくなるとされています。

夏の終わりから秋の時期に一番多く台風が日本へやってきます。しかし実は、季節を問わず一年中台風は発生しており、季節によって風の流れが違うため、8~9月の時期を除き日本にはあまり上陸はしません。

台風が上陸すると強風はもちろん、豪雨により、堤防に激しく波が打ち付けていたり、川が大氾濫したりと様々な災害が私達を襲います。

私達人間の生活を脅かす台風ですが、魚たちは台風のとき、どのようにしてこの難を逃れているのでしょうか。

海の中、川の中はどの様になっているのでしょうか?

台風通過時の海の中

まずは台風が直撃した時の海の中を紹介。

台風通過時のサカナの行動を海水・淡水別に解説 避難場所は海が豊富?(出典:pixabay)

台風が通過するとき、堤防に激しく波が打ち付けている様子をニュースなどで見たことがあると思いますが、意外と海の中は穏やかでいつもどおり平常運転。

しかし台風が通過するとき、気圧の低下や雨により、水量増量するため海面はいつもより、高くなります。その高くなった海面が強風により激しく煽られることで大きな波となり、堤防に打ち付けられます。

つまり、台風による海中への直接的な影響は、海面(表層)がメインのようです。

台風通過時の海水魚の対応

台風によって水位が上がり高潮になった場合、深場ではなく表層や中層にいる海水魚はどうのように逃げているのでしょうか。

実はサカナは海の変化をいち早く察知し、安全な深場に逃げています。これには台風通過時に起こる「湧昇」という現象が深く関係しています。

台風が通過する際、風によって海面付近の水温が下がります。すると、海の中では冷えた表層の水は深層に流れ込み、深層の水が表層に押し上げられる循環が生まれます。これが「湧昇」です。

この深層に流れ込む海流に乗って魚たちも深場に潜っていきます。

台風中の川の中

台風が直撃した時の川の中を紹介。

台風通過時のサカナの行動を海水・淡水別に解説 避難場所は海が豊富?(出典:pixabay)

一方で川は海とは話が変わってきます。降り注ぐ雨の影響で、川の水量ははね上がります。そして、水源から離れるにつれて、いくつもの支流から水が集まり、水量は爆発的に増え、濁流となります。

日本列島は、標高1,000~3,000m級の山脈が背骨の用に走っています。ヨーロッパやアメリカの川に比べて全体の長さがとても短いため、流れのスピードが早い傾向があります。台風の時はなおさらです。

そういったことから水量が増えるとその勢いは更に増し、地面を削りように水が流れていきます。

雨により水量が増え続け、護岸を超えてしまうと川は氾濫してしまいます。

台風通過時の淡水魚の対応

海とは異なり、深場に逃げることが出来ない川の魚は、護岸際のテトラや岩などの物陰や流れの緩やかな場所を探してじっと耐えしのぎます。

しかし、あまりの流れの強さに、数km下流まで流されてしまうこともあるようです。

川だけに限らず海でも同じですが、水の塊ごと陸に打ち上げられてしまうと魚はどうしようもありません。

台風後は魚が釣れる?

釣り人の間で、「台風後の海は魚がよく釣れる」という言葉をよく耳にします。「台風後の荒食い」という言葉もあるほどです。

真偽の程はわかりませんが、よく聞く4つの説を紹介します。

1.魚が空腹気味説

台風の通過を魚はじっと待っているため、魚はご飯を食べることが出来ず、空腹になっていることが多いと考えられています。

そのため、台風が去ると、空腹を解消するために魚たちは食欲旺盛になります。

そのため、釣り人がエサをたらすと魚たちは一目散に食べに来るため、魚がよく釣れるようになると言われています。

2.湧昇流の影響説

湧昇流の影響で表層の魚は深層へ流れていきます。

すると、深層に住んでいrた大きな魚の食欲にスイッチが入り、小魚を求めて表層付近まで上昇してくるというもの。

食欲のスイッチが入ったサカナは釣りやすく、普段見ないような大きな魚が近場で簡単に釣れるようになるというものです。

3.河口付近がパラダイス説

河口付近では川から小魚やミミズ、虫などがたくさん流れてくるため、餌が豊富になります。

また、水の濁りが魚の警戒心を解くため、サカナがつれやすくなっているようです。しかし水の濁りが強すぎる場合や、流れが速すぎる場合は、逆にサカナがエサを見つけられずに活性が低い場合もあります。

4.釣れなくなる生物もいる説

反対に雨などの影響で釣れなくなる魚もいるようです。

イカやタコなどは真水を嫌うため、大雨の後は真水を避けて深場に行ってしまい、極端に釣れなくなってしまいます。

何より安全第一で!

台風一過で晴れていても、風やウネリがのこっていたりと、普段から行き慣れている環境であっても油断は禁物です。台風の前後は、よく釣れるかもしれませんが、安全第一で危険な場合は諦める勇気も大切です。

台風前に釣りに行き、台風に巻き込まれることも、台風後に濁流や増水で流されるなど水難事故が多発します。また助けにいってミイラ取りがミイラになるような二次災害も考えられます。

安全第一に釣行を計画しましょう。

<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>



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